ムーミンの訳者は…日米開戦に猛反対した軍人の夫を支えた“激動の生涯” (4/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ムーミンの訳者は…日米開戦に猛反対した軍人の夫を支えた“激動の生涯”

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翻訳家・小野寺百合子(c)朝日新聞社

翻訳家・小野寺百合子(c)朝日新聞社

<婦人専用の建物の中に入れられ、一人一人になって衣服を全部脱がされ、ガウン一枚を着せられた。それから貴重品を隠し持っていないかの厳重極まる検査がはじまった>

 それから数カ月後、戦犯容疑の晴れた信が帰宅した。ここから、ようやく夫婦の戦後がはじまる。軍人の妻から民間人の妻へ。信は材木会社でトラックの上乗りを、百合子は婦人服の仕立てを行い生計を立てた。

 その後、夫の信はスウェーデン時代の知己とともに「日瑞貿易会社」を設立。再び、小野寺夫婦とスウェーデンの縁が繋がった。そして「ムーミン」シリーズをはじめ、数々の作品が日本に紹介される。

 平和な世界に生きるムーミン、だがこの作品を私たちに伝えた翻訳家・小野寺百合子の激動の生涯を知る人は少ない。開戦の日の今日だからこそ、百合子が訳した平和な時代だからこそ読める名作を味わいたいものだ。

 なお来夏、この小野寺夫婦のスウェーデンの活動は、主演の薬師丸ひろ子が百合子役を、香川照之が信役を演じる終戦記念ドラマ「百合子さんの絵本」(NHK総合)の放映が決まっている。

※敬称略

(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)


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