「大学を出て職がない息子を養ってくれて。結婚はもう無理。だから孫の顔もみられないと諦めていたわたしたちにもサチコさん親子は幸せを運んできてくれました」

 今では、ショウヘイさんの両親も、“初孫”である小6の娘の進学塾や習い事の送迎など、“お受験”のサポートに加わっているという。

 兵庫県に住む公立小学校教諭のミドリさん(42)もサチコさん同様、3K女性だ。前々夫との間に設けた小4の息子が1人いる。離婚後、大学時代に所属していたサークルの先輩と再婚したが、前夫とその両親からは、「教職を辞めて家庭に入れ」と煩い。それが理由で再婚生活は2年と持たなかった。

「夫を中心とする家族――そんな価値観に縛られていたんですね。前の夫もその両親も。もちろん私も。前の離婚の反省を踏まえて、今度は私を中心とする家族を作ろうと。それでハウスハズバンドになってくれる男性を求めました」(ミドリさん)

 離婚後、婚活に励むことにしたミドリさんは、早速、結婚相談所に登録、みずからの希望を相談員に告げた。そして3カ月で7人の男性と見合い。その相手は、皆、年収300万円から500万円の30代半ばの年下男性だった。ただし全員が大卒だ。子どもの父親になる相手なのでやはり大卒以上の学歴は欲しかったからだ。

 そうした努力の甲斐もあって、福祉介護職のコウタさん(34)との結婚が決まった。都内の有名私立大学で社会福祉を専攻、新卒時からずっと激務の割に収入面ではまだまだ恵まれない福祉介護職に就いているという真面目な人柄に惹かれた。

 大勢の不特定多数の他人の面倒をみてきた経験は、結婚して家族となり、「私と息子だけをみていてくれればいい」(ミドリさん)。

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