スピードが武器の浅野拓磨(写真・六川則夫)
スピードが武器の浅野拓磨(写真・六川則夫)

 2016年のリオデジャネイロ五輪を目指す22歳以下(U22)日本代表は7月1日、ユアテックスタジアム仙台で行われた国際親善試合で、U22コスタリカ代表に2-0で勝利した。

 36分、U22日本は野津田岳人(広島)のゴールで先制すると、77分に交代出場の金森健志(福岡)が追加点を奪って快勝した。今年3月のアジア1次予選以来3カ月ぶりの試合だったが、攻撃が確実にスピードアップして球際での激しさも増していた。

 日本の課題は、攻撃陣の実戦不足にあった。所属チームでの出場率をみると、それがはっきりわかる。トップ下で背番号10を背負う中島翔哉(FC東京)はわずか3%、所属チームで最多16試合に出場する鈴木武蔵(新潟)も20%に過ぎない。

 代表チームは活動期間が限られるだけに、所属チームでポジションを獲得し、実戦経験を積むことがU22日本の強化につながる。このため、今回は、所属チームの出場率が5割ちかい選手を招集した。広島でスーパーサブ的な存在の浅野拓磨や、東京Vから松本へ移籍してポジションをつかんだ前田直輝である。いずれも、スピードを武器に所属チームの躍進に貢献している。

 日本は、1トップに浅野、左右両サイドにレフティーの前田と野津田岳人(広島)、トップ下に中島を置いた。立ち上がりからスピードあふれる攻撃で、コスタリカ守備陣を脅かす。浅野は、タテに抜け出るスピードに加えポストプレーも確実だった。また、前田と野津田も、1対1なら積極的にドリブル突破を仕掛けた。そして、身長164センチと小柄な中島は、フィジカルコンタクトを恐れず空中戦を挑んでいた。

 先制点は36分。パスを受けた亀川諒史(福岡)が左サイドを突破してクロスを送ると、ニアサイドで野津田が右足ボレーでゴールを奪った。

 後半は両チームとも8人の選手を目まぐるしく代えたため、中だるみした時間帯もあった。しかし、日本は70分に金森健志(福岡)を投入すると、再びスピードアップ。7分後、金森はインターセプトから30メートル近いドリブルシュートを決めて、追加点を奪う。これらの得点シーン以外にも相手GKの好セーブがなければ、あと2点は入っていただろう。

 手倉森監督は試合後の会見でこう試合を振り返った。

「攻撃の優先順位や前からの守備、システム変更の柔軟性など間違いなく進歩している。これに満足せず、高みを目指して欲しい。(所属チームで)ポジションを取って出続けている喜田拓也(横浜FM)や前田はよく成長している。試合に出ていることを条件に、これからもはっぱをかけたい」

 あくまでJリーグで出場することを日本代表の選出基準にあげ、競争意識を煽ることも忘れなかった。

 日本は、これで年内のテストマッチをほぼ終了。年末に行われるカタール遠征などを経て、来年1月12日からカタールで始まるアジア最終予選に臨む。

サッカージャーナリスト・六川亨)