「今日の式をキャンセルしたいのですが……」

 担当していた30代のカップルが、当日になって挙式を取りやめたいと言い出したのだ。聞けば、新郎が浮気をしていることが発覚したのだという。さらに悪いことに、それが判明したのが式の前夜だった。前述のカップルの場合は式まで日にちがあったため、まだ話し合いの余地や気持ちを整理する時間があったが、ここまで直前になるとそうはいかない。

 そういうことならば仕方ないと、プランナーは式場に出向くと、やってきた招待客に「本日の挙式は事情により中止となりました」と説明し、ひたすら帰す、という作業に専念した。ちなみに、結婚式は当日キャンセルだと費用は戻ってこない。この場合はホテル挙式だったため350万円ほどかかったというが、新郎新婦は式を挙げないまま、挙式費用だけは丸々負担するという恐ろしい結末をたどってしまった。

 先の2つのケースは新郎が原因のトラブルだが、もちろん新婦が原因になることもある。

 結婚式の感動の場面と言えば、新婦が読む「母への手紙」。だがこれを書き忘れていたことを、当日になって新婦が告白。式の段取りの中にはすでに組み込まれているし、母親も「母への手紙」があることを知っているから、中止というわけにもいかない。そのため新婦はヘアメークの最中、必死に考えながら手紙を書くという、何ともあわただしい「母への手紙」が出来上がったという。

 また、忘れ物という点でありがちなのが「結婚指輪」だ。2014年に挙式したタレントの鈴木奈々は、式当日に結婚指輪を忘れたことで話題にもなったが、実はこういったケースは決して少なくないという。彼女の場合は最終的に「笑えるハプニング」となったようだが、都内で挙式を予定していたカップルは、これがきっかけで大ゲンカが勃発。「どちらが持ってくるはずだったか」ということでもめにもめ、空気は最悪に……。

 しかしここで助け舟となったのが、式場の人の「予備があります」という言葉だ。実はこの会場には、そうしたハプニングに備えて予備の結婚指輪があったのだという。とはいえ、一度大ゲンカしてしまった手前、すぐに元通りというわけにもいかず、お互い何ともバツの悪い結婚式になったようだ。

 幸せの絶頂のように見える結婚式だが、実はこんな事件が起こっていることも。これから式を挙げるカップルや独身の方たちは、このようなことのないよう、参考にしていただければと思う。

(ライター・朝比奈 ゆう)