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“ヌケる”だけじゃない!? 官能小説の新潮流とは

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『日本の官能小説――性表現はどう深化したか』(朝日新書)永田守弘著定価:842円(税込み)Amazonで購入する

『日本の官能小説――性表現はどう深化したか』(朝日新書)
永田守弘著
定価:842円(税込み)
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 出版不況をものともせず、コアな読者の熱い支持を得て、書店の片隅をひそかに彩っているジャンルがある。官能小説、いわゆる“エロ小説”といわれる分野だ。官能小説研究の第一人者である永田守弘氏は、著書『日本の官能小説――性表現はどう深化したか』(朝日新書)の中で、そんな官能小説の変遷を解説している。

 1933年生まれの永田氏は、官能小説を渉猟し始めて50年余り、年間300本以上も読破し、これまでに『教養としての官能小説案内』(ちくま新書)、『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)なども執筆。集大成となる同書では、戦後から直近の2014年までの官能小説本文から、多種多様な官能シーンを引用し、時系列に並べ、その移り変わりを辿っている。

 永田氏によれば、官能小説の作家たちは、読者の“淫心”を、もっとストレートにいうならば、股間を挑発するために、職人的な技巧を凝らし、セックス描写のバリエーションを増やすことに腐心してきた。官能小説は、時代ごとの風潮を肌で感じ、最新の社会状況を鏡のように反映して発展してきたという。

 たとえば、戦前から戦後にかけて一世を風靡した、コスプレ系の一分野ともいわれる“尼僧もの”。剃髪した尼僧が、頭巾と僧衣に身を包んだストイックな姿が、逆に情欲を掻き立てて、好評を博した。淫情とは無縁な犯しがたい存在を、性技で屈服させるという設定は、官能小説の格好の題材として好まれ、繰り返し描かれてきたテーマである。しかし、最近では、尼僧との情交というシチュエーションは、あまりにも現実味に乏しく、尼僧ものは激減してしまった。

 代わって登場したのが、“巫女もの”だ。


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