女性の社会進出が叫ばれ、一方では深刻な少子化が問題とされているなか、妊活・妊娠・子育て中の女性たちどう思っているのだろうか?

 妊娠・出産・育児までをトータルでサポートするスマートフォン向け情報サイト『ルナルナ ファミリー』を運営する株式会社エムティーアイが、同サイト利用者を対象に「妊活・妊娠・子育てに関する意識と実態調査」を実施。「妊活していて特につらかったこと」について自由解答であげてもらったところ、様々なエピソードが寄せられた。

 例えば、「早く子ども産んだら?」と言われて傷ついたり、仕事との両立が無理で妊活自体を中止したり、というエピソードからは、“妊活”という言葉が社会にある程度浸透し、理解を得られているかのように錯覚しがちだが、現実的には様々な理由で妊活を公表できなかったり、職場での理解を得るのが難しかったりと、問題が山積していることが伺えた。

 また、出産後の働き方について聞いたところ、妊活中の女性の約6割が育児休暇などを取得して、出産前の仕事を続けたいと解答。出産前の仕事は辞めても出産後に再就職したいという声を合わせると、全体の89%にのぼる女性が出産後も働くことを望んでいる事がわかった。

 ところが、子育て中の女性に同じ質問をすると、「出産前の仕事を続けている(続けたい)」は約5割に落ち、「妊娠・出産を機に仕事は辞めた(専業主婦になった)」は29.6%と、妊活中の女性の13.8%に比べ倍以上増加していることがわかった。仕事を辞めた理由については「子供が小さいうちはそばにいたいから」が48%でトップだったが、「仕事の内容的に、出産後の就業が困難なため」が42.5%、「産休・育休などの制度を取得できない」が27.9%と続いた。

 一方、「妊娠・出産後も仕事を続ける(続けたい)」理由については、経済的な理由がトップとなったが、「社内に産休・育休を取得したり、子育てしながら仕事を続けるケースが多いから」が2位と続き、職場でのモデルケースの有無も大きな要因であることがわかった。また、周囲に家事や育児に対するサポート体制があるかどうかも大きな問題だという声も、実際に子育てをしながら働く女性から聞かれた。

 子どもが欲しいなら“妊活”は常識という意見も多く、30歳が妊活開始適齢期と言われるなか、働く女性が実際に30歳から妊活を開始し、妊娠、出産、そして子育てをしていくには様々な壁があるのが現実のようだ。

 では、女性の社会進出や少子化対策として具体的に女性たちが求めていることとは何なのだろうか?

「自分が日本の首相だったら、少子化対策としてどのようなことをしたいか」を自由にあげてもらったところ、「保育・託児施設の充実・増設/待機児童をなくす」が154件で最も多く、女性たちが保育施設の充実が少子化対策として効果的であると考えていることがわかった。なかには、平日休みの保護者のために日曜日や祝日に開園する保育園のリクエストや、病児保育の拡充、延長保育の時間延長と保育料の補助を求める声もあった。

 また、働く女性として会社に導入してほしい制度として、「勤務時間帯をずらす・短時間勤務を認める」(65.1%)、「妊娠・出産・子育てに関する手当や補助金制度」(62.6%)、「託児所施設を作ったり保育所やベビーシッターを気軽に使える」(49.2%)、「妊娠・出産した場合の人事制度・人材育成を考慮してくれる」(48.2%)などがあげられ、女性たちが求めていることと、実際の制度との乖離が伺える結果となった。

「仕事も家庭も」というのは、もはや贅沢な夢ではない。両立を実現している女性も増えてきているが、全ての女性が平等に権利と機会を与えられる世の中になるには、まだまだ遠い道のりなのかもしれない。