レクサス副社長が語る「レクサス成長戦略」の真実 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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レクサス副社長が語る「レクサス成長戦略」の真実

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エグゼクティブ バイス プレジデントのマーク・テンプリン氏

エグゼクティブ バイス プレジデントのマーク・テンプリン氏

NX300h 〈オプション装着車〉

NX300h 〈オプション装着車〉

LEXUS RC300h

LEXUS RC300h

 世界の高級車市場で日本の自動車メーカーの苦戦が続いている。ここ数年、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどドイツの自動車メーカーは、大衆向けの小型車など新たな車種を積極的に投入するなどして販売台数を順調に伸ばしてきたが、日本勢は伸び悩み、両者の差は年々広がっているのが現状だ。しかし、そんな状況の中、日本の高級車ブランドの代名詞レクサスはドイツ勢に対し「販売台数で対抗しようとは思っておらず、年間50万~60万台ぐらいで顧客に喜ばれる車をつくる」「結果的に販売台数が増えるのは好ましいが、台数を増やすため車種を増やすことはない」(4月3日、レクサスインターナショナル エグゼクティブ バイス プレジデント山本卓氏が発言)との方針を明確にしている。
 現在、世界の高級車市場でのシェアはドイツ勢7割に対して、日本勢は1割程度しかない。こうした状況でも、レクサスはドイツ勢を追随せず、“独自の路線”を歩もうというのだろうか。レクサスインターナショナルで販売マーケティングを担当するエグゼクティブ バイス プレジデントのマーク・テンプリン氏に「レクサスの成長戦略」について聞いた。

* * *

●そもそも販売台数はレクサスにとってまったく重要ではない

「たしかに販売台数はブランドの成功を図るひとつの尺度ではありますし、マスコミは販売台数の増減でもってメーカー同士を戦わせようとしますよね。ただ、我々にとってそれはもっとも重要な要素に近いものですらありません」

 清潔感漂う純白のシャツに爽やかな紺のスーツ、自身の目の色に近い淡い青色のネクタイを結んだマーク・テンプリン氏は、苛立った様子もなく当然のようにそう語る。

「私どもは販売台数よりも20年、30年先の将来のための基盤作りを優先しています。むしろ急速な成長はすべきではない、とすら考えている。アキオ社長(豊田章男社長)も常に『台数なんてどうでもいい』、『利益も気にしない』と本気で言っています。レクサスブランドが重要視している基準は、ブランドイメージ、品質、お客様対応などであり、決して販売台数や利益ではないのです。しかしながら実際は、本年1~6月、欧州で25%増、中東で20%増、中国で17%増、北米で17%増と我々が望む以上の速度で販売台数を伸ばしている。もちろん我々の“哲学”を曲げずに成長していることに関しては、非常に喜ばしいことだと考えています」

 昨年1月、メルセデス・ベンツは日本でも全面改良されたエントリーモデルの「Aクラス」を発売開始。284万円からという価格もあり、昨年は同モデルとして過去最高の販売台数を記録した。また15年までに、Aクラスをベースにした数種類の小型車を世界で順次投入する計画を推進中だ。さらに、昨年まで7年連続で過去最高の販売台数を更新し続けている絶好調のアウディは、高級車ブランドとしてのイメージを上げることに成功する一方で、11年に投入した小型のエントリーモデル「A1」や小型セダンの「A3」も好調で、“大衆化”にも成功している。

 こうしたダウンサイジング(小型化)を推し進めるライバルの販売戦略について、レクサスはどう考えているのか。

 「他社がそうした方法で販売台数を増やしている点について、焦りを感じている人間はレクサスにはいないでしょう。そもそも、トヨタはグループ全体で、昨年は全世界で998万台を売り上げているわけです。そういう“後ろ盾”があるのが、他のメーカーとの違いでもあり、レクサスの強みでもある。レクサスは販売台数を稼ぎたいがためにブランド価値を損なうリスク、つまりいたずらに大衆化する必要はありません。我々がやるべきことは、真の意味での高級車とはなにかを追求すること、そしてお客様にとって何が優先されるべきかを考えることです。一部のメーカーが行っていること、小型化しプライスを下げることで台数を増やすのは、長期的に見たときラグジュアリーブランドとして価値を損ねる恐れもあります。そもそも高級車市場で確固たる地位を築いている歴史あるドイツメーカーと比べ、レクサスは歴史が浅く、ブランド確立の途上であり、そんなレクサスが他メーカーと同じことをやっていてはいけないのです。ドイツメーカーが安い車を売ろうというのであれば、それはトヨタに任せておけばよく、レクサスはその逆を行けばいいと思っています。つまり彼らが右に行くなら左に、下に行けば上に……要するにユニークなイメージを維持することが重要なのです」


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