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「実家を出たくても出られない」経済的独立が困難な若者たち

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地方にこもる若者たち

阿部真大・著

978-4022735065

amazonamazon.co.jp

 2007年のサブプライムローン問題によって起きた金融危機やリーマンショックの影響で、日本の多くの企業の業績が悪化し、就職氷河期が訪れた。とくに2009年卒以降の大卒の内定率は急激に減少し、近年は就職氷河期に見舞われている。しかし、そんな就職氷河期にも回復の兆しが見えてきたようだ。

 就職情報サイト『マイナビ』を運営する株式会社マイナビが、2014年3月卒業見込みの大学4年生、大学院2年生を対象に行った「マイナビ大学生就職内定率調査」によれば、5月末時点での就職内々定率は49.0%で、前年同月比6.5ptと大幅な増加が見受けられる結果となった。内々定者の61.9%(前年同月比2.7pt増)は「内々定先に満足したので終了する(終了している)」と答えており、例年よりも早めに就職活動を終了する傾向もみられるという。

 しかしながら、雇用が上向きになっているからといって若年層の経済問題がすべて解決するわけではない。近年の傾向として、就職難と同等に深刻な問題のひとつにパラサイトシングルの存在があげられる。

 パラサイトシングルは、もともと「学卒後も親に依存し豊かな生活を送る未婚者」という定義のもと90年代中盤に流行った言葉である。しかし2000年代以降、失業問題や不安定雇用が続き、経済的に独立することが難しく、親元を離れることができない層が多く生まれた。現在、パラサイトシングル(親に依存する未婚者)の多くは経済的不安を抱えており、地方に行くほどその割合は高い。

 甲南大学の准教授で社会学者の阿部真大氏によれば、彼らは賃金が低く経済的に苦しい状況を、仕事のなかで「やりがい」を見出すことでカバーしているという。また阿部氏は著書『地方にこもる若者たち』のなかで、そんな彼らを次のように分析する。

 「低賃金で未来の見通しも暗いが、仕事の特質を生かしてわずかながらも“やりがい”を見出し、それを“生きがい”につなげていく。彼らにとって仕事のやりがいとは、1990年代以降の構造的不況による収入の激減という世代的な危機的状況を克服するために生まれた集団的な“生きる知恵”なのである」

 彼らは精神的なつらさを「やりがい」で補い、親の存在によって金銭面を補うことで彼らは生活を保っているとのことだ。しかしながら、親にいつまで頼れるほどの収入があるかはわからないという不安もある。そして、未婚者が増え人口が増えなければ、国自体の衰退も懸念される。

 7月21日は参議院選挙の投票日たが、若年層の深刻な経済状況も、重要な争点のひとつになることが予想される。そして少子化が進み労働人口が減少の一途をたどる今後、若年層の経済的生産性の改善は今まで以上に大きな課題となっていきそうだ。


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