「ポリコレ」「トンポリ」「マンスプ」…などと、言われて何のことかわかりますか?(※写真はイメージです GettyImages)
「ポリコレ」「トンポリ」「マンスプ」…などと、言われて何のことかわかりますか?(※写真はイメージです GettyImages)

「ポリコレ」「トンポリ」「マンスプ」と言われて何のことかわかるだろうか。これらのカタカナ語が、ネット上の言論空間で使われるようになって久しい。今さら聞けないこれらの言葉について、しばらくは緩やかなステイホームが続きそうな今、おさらいしておきたい。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)

 毎日誰かが何らかの議論で炎上している殺伐としたツイッター空間。どんな人をフォローしているかにもよるが、(1)ツイッターを毎日眺めている、(2)それなりに議論好き、の2点が揃えば、ここ4~5年で頻繁に目にするようになったカタカナ語があることに気づくだろう。

 一方でそうでない人からすると、「ポリコレ」だの「トンポリ」だの言われても、「パリコレ、ノンポリのタイポなのか?パリコレはそんなに議論を呼ぶ催しだったのか?」と思うばかり。

 ネット議論に興味がなければ関係ないと思うかもしれないが、特定の事象の言語化とは便利なもので、概念を覚えておけば、リアルな生活で何か事件が起こった際の分析に有効である。

 それでは早速レッツゴー。

●ポリティカルコレクトネス略して「ポリコレ」

 略して「ポリコレ」。しばしば「政治的公平性」と訳されるが、これだけでは何のことかピンとこない。差別や偏見に根差した言葉や表現を是正していこうという試みのことだ。

 例えば、昔のハリウッド映画では主人公は白人、主人公以外も白人。黒人は脇役で、アジア人にいたっては登場しないか、登場しても眼鏡に出っ歯のステレオタイプといった有様だった。「ユニオシ」とか変わった名前をつけられていたり……。

 このような描かれ方は、長らく続いてきた白人優位の社会のあり方を追認するものであり、差別・偏見を再生産する。

 そのような考え方に基づいて、「政治的公平性」に基づく表現や発言が求められるようになった。

 人種の問題だけではなく、性別・年齢・職種といったあらゆる観点から見た「公平性」が追求される時代となっている。ディズニー映画で有色人種のプリンセスが登場したり、車椅子や義肢を使うバービー人形が販売されたりといったことも「ポリコレ」の流れだ。

 日本では例えば、大坂なおみ選手がCMでイラストに描かれた際に、肌の色が白く描かれたことに非難の声が上がった。また、「家の中で妻だけが家事をしていて、夫はソファでくつろいでいる」といった広告での描写に非難の声が上がるのも、これまでの性的役割分担に異を唱えようとする「ポリティカルコレクトネス」の一環だろう。

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ネット上では「ポリコレ棒」「ポリコレ疲れ」といった言葉も