還元策が始まる以前と同じように利用するであれば、問題はない。しかし、「どうせ割引になるのだから、ついでにこれも……」と買う量や回数が増えてはいないだろうか。

 2%還元というと、300円の買い物をすれば6円引きとなる。500円で10円引きだ。だから、たとえば毎日コンビニで500円使い、10円の還元を20日間受けたとすれば、1万円使って200円を得することとなる。しかし、コンビニに行くのをたった1日やめれば、1万円も使うことなく、200円程度の金額は簡単に節約できるのだ。ちょっと冷静になって考えればすぐわかることだが、おトクな感じがしていても、実は全然おトクでない買い物の仕方をしていることがあるから、要注意だ。

●【傾向3】必ず還元事業の対象になっている店を探して入る

 ランチしようと何気なく入った店で現金支払いをした後に、そこがキャッシュレスで5%還元の対象店だとわかったら、無性に損をした気になるのではないか。筆者もこの経験がある。レジも混んでいたため現金で支払ったら、お釣りを受け取ったタイミングで小さく「5%還元店」を示すシールを発見したのだ。誰もが名を知るメジャー店だから、きっと対象外なのだろうと油断していたのが敗因だった。

 せっかく対象の店を表示するアプリがあるのだから、先に見るべきだった。筆者と同じような経験をした人は、「これからは必ず払う前に確認しよう。いやいや、はじめから還元対象の店を調べてそっちに行こう」と思うだろう。

 考えてみれば、それがこのポイント還元事業の狙いなのだ。消費増税の影響で売り上げが落ちそうな中小規模店舗を保護するため、そこにわざわざ足を運び、お金を使ってくれる人たちを増やすのが目的なのだから。

 毎日のランチも、飲み会も、還元の対象店をまずアプリで調べて……という人は、この事業に乗せられて、素直にお金を使ってくれる層ともいえる。自分の行動が誘導されているかもしれないとしても、あまりそれを気にしない寛容な人々だ。

 経済産業省によると、還元事業に登録する店は日々増えており、2019年12月21日現在の登録申請数は約97万店だという。お金を使う場所がますます増えていきそうなので、ご用心を。

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