消費増税後に始まったキャッシュレス決済のポイント還元事業が、順調に利用を伸ばしている。しかし、その仕組みには落とし穴もある(※写真はイメージです Getty Images)
消費増税後に始まったキャッシュレス決済のポイント還元事業が、順調に利用を伸ばしている。しかし、その仕組みには落とし穴もある(※写真はイメージです Getty Images)

●キャッシュレス花盛りの日本列島 でも、ちょっと考えてみよう

 消費増税対策としてスタートしたキャッシュレス決済のポイント還元事業だが、順調に利用も伸びているようで、政府はポイント原資が不足する恐れが高まったとして、約2700億円の追加予算を計上する方針だという。

 1日平均の還元額については、スタート当初は約8億円だったが、現在は約14億円(2019年12月16日現在)にまで増加しているうえ、年末年始商戦でもうひと伸びという思惑もあったのだろう。

 なお、この還元事業の対象に入らない大手企業の決済に対しても、決済業者独自のキャンペーンが行われ、まさに日本列島中がキャッシュレス花盛りといったところだ。

 その一方で、ヤフーを傘下に収めるZホールディングスとLINEの経営統合、KDDIとローソンの提携など、早くも「祭り」の後のスマホ決済再編の動きも見えてきた。彼らに先陣を切らせていたようにも見えるカード会社も、かざすだけのタッチ(コンタクトレス)決済を軸に攻勢をかけようとしている。

 そんな業界事情に振り回されるのが消費者だ。「現金で払うのはもったいない」という風潮に押され、キャッシュレスに邁進しているニッポンだが、中には「キャッシュレスの被搾取予備軍」になっている人もいるのではないだろうか。トクだと思って使っているつもりが、逆にむしり取られる側になってはいまいか。果たしてあなたがそうなっていないか、次の項目を読んでぜひ自問してみてほしい。

●【傾向1】使っているスマホ決済が3つ以上ある

 昨年の大型キャンペーンでPayPayをスマホにダウンロードしたという人は多いだろう。数あるスマホ決済アプリの中で、最も利用者が多いといわれているのだから、当然かもしれない。さらに、「ドコモユーザーならd払い、auユーザーならauペイも」というのは自然だろう。ついでに、「コンビニでのキャンペーンが目立ったLINE Payやメルペイも、その際に入れました」という人も結構いるのではないか。

 クレジットカードの活用法では、カードはメインとサブの2枚に絞り、ポイントやマイルを集中してためるのが効率的とよくいわれている。スマホ決済アプリも、むやみやたらと手を出すと、バラバラに打ってくるキャンペーンのたびに、「今週はアプリAを使い、翌週はアプリBを、さらに翌月はC、そしてDを……」と、どこの決済業者にとってもお得意様になってしまいかねない。

 加えて、キャンペーンで付与されたポイントが期間限定だったり用途限定だったりしたならば、それを使うためにまた決済をして……という無限消費ループが待っている。これでは、「トクしているのは決済業者のほう」ということになりかねない。

 そろそろ自分が使いやすいスマホ決済アプリが見えてきたころだろう。できれば2つまでに収めるべく、整理を始めたほうがいいかもしれない。

●【傾向2】以前よりもコンビニでの買い物が増えた

 ポイント還元店の中でも、レジで2%が割り引かれる即時還元を採用しているコンビニが決済金額を伸ばしているという。「割引になるのだから、コンビニで買うに限るよね」と思うのは自然な成り行きだ。ビジネスパーソンにとって身近な存在であり、毎日寄り道をする人も多いだろう。

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還元事業対象の店を探して入っていないか