Bはそれがおよそ50%という意味になります。ここが覚悟を決めるポイントです。さて自分はどうするのか。「逃げ勝ち」にチャレンジするのか、「どっこい負けず残り」をするのか。

 さて、よくあるのがAです。実は私もそうでした。第2の人生で得られる収入が今得ている収入の3割ほどになると、心の中の第2の人生の比重はもっと大きく前のめりですから、勢い余って辞めてしまうのです。

 しかし、これは多くの場合、時期尚早です。後々苦労します。第2の人生で行うことだけではまだ食べられませんし、前職でもフェイドアウトという雰囲気ではなく、周りからは「いきなり感」を持たれるので驚かれてしまいます。下手をすると人間関係も分断してしまいます。

 それでも、「これがタイミング」と思うのであれば、このほかに、せめて今得ている収入の5割くらいを得られる定職をまず決めてください。安定したアルバイトでもいいのです。要するに別の働き口です。

 ただし、これから伸ばしたい本線はあくまでも現状3割である第2の人生で、この新たな定職は担保にすぎませんから、そこに真面目にのめり込みすぎて、残業や休日出勤などを続けてしまうと本末転倒になります。新たな定職で出世欲が生まれるのもご法度です。それでは、単なる転職になってしまいます。その新たな定職もいつか近い将来にはなくなることを忘れないでください。雇われて生きるということには必ず終わりがあるものなのです。

 本線ではないので、それほどやりがいがない仕事でもいいのですが、正式な入社を伴う場合は、入社時に雇用条件を確認する必要があります。自分が他に行っている仕事について、「会社には決して迷惑をかけない」「むしろ営業面やスキル面で相乗効果がある」といったようなことをしっかりと理解してもらい、副業を認めてもらうようにしましょう。幸い、昨今は副業が認知されてきました。認められる可能性は高いでしょう。

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)