(※写真はイメージ)
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 労働組合の中央組織である連合は7月27日、札幌市で開いた中央執行委員会で、「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設や裁量労働制の拡大が盛り込まれた労働基準法改正案の修正に関する「政労使合意」を見送ることを決めた。

「高プロは、残業代ゼロを容認し、長時間労働を助長する」と反対してきた連合だったが、一転、容認に回り、この約2週間前の13日には、神津里季生会長自らが官邸を訪れて、安倍首相に改正案の修正を要請したばかり。一体、何があったのか。

●唐突に「高プロ」容認に転換 現場が反発、2週間で撤回

「ずるずると引きずってはいけないという認識もあり、判断した」

 中央執行委員会のあと、記者会見した神津会長、逢見直人事務局長の表情はげっそり

 執行部の全面敗北で終わった2週間のドタバタ劇を象徴するようだった。

 発端となった「高プロ」とは何かといえば、為替ディーラーやアナリストなどの特定の専門職で、一定以上の年収(1075万円を想定)のある人について労働時間の規制を外す制度のことだ。

 労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間と定め、この法定労働時間を超えて働かせる場合は、割増賃金の支払いを義務付けている。高プロの対象になれば、労働時間の規制がかからず、残業代はもちろん、休日労働、深夜労働にも割増賃金が一切支払われなくなる。

 第一次安倍政権のときに導入が検討され、猛反発を受けて頓挫した「ホワイトカラーエグゼンプション」の一種だ。

 政府は2015年4月に、これを盛り込んだ労基法改正案を国会に提出したが、野党が「長時間労働を助長する」と反発。法案は審議もされないまま、たなざらしになっていた。

 連合も一貫して反対し、法案の閣議決定の時も、「高プロの創設と裁量労働制の拡大を阻止するため、院内外の取り組みを強力に展開する」と“徹底抗戦”する事務局長談話を発表している。この時の事務局長が現会長の神津氏だった。

 だが唐突な形で今年7月、法案修正を政府に働きかける執行部の動きが表面化する。

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