●地方によっては「地元校重用」も学歴が重視されるのは何歳までか?

 面白いのは、地方では地元の国公立大学が有利になり、都内の有名私大出身者より高く評価されることもざらにあります。また、地域経済の中核となっているのが地元商業高校出身者のネットワークということもあります。

 そのため、地方に進出して人材採用する場合、地元の大学や商業高校出身者は見逃せない経歴です。ある県に営業拠点をつくり、本社から優秀な社員を送り込んだものの成果が上がらなかった会社が、地元出身者を採用したところ、すぐに成果が上がり始めた、というケースも見られます。

 では、企業の採用において学歴はいつまで重視されるのでしょうか。職歴とのバランスで言うと、新卒採用時は職歴がゼロですから学歴の評価が100パーセントです。それが徐々に齢を重ねていくにつれ、職歴の割合が増えていき、32~33歳頃にその割合が逆転します。

 転職コンサルタントとしての経験から感覚値で言うなら、35歳であれば80~90%が職歴、そして40歳になれば学歴の評価はほぼゼロになります。ですから、一流大学を出た人でも、40歳になる頃には学歴があまり評価されなかったり、逆に学歴がいま一つだった人が仕事の頑張りによって非常に高い評価になったりすることもあり得ます。

 このように、学歴には「賞味期限」があります。転職の際に、ご自身の学歴が武器になると考えている方は注意しなくてはなりません。逆に学歴を気にされていた方は、仕事で実績を積むほどに、学歴は気にされなくなると知っておくといいでしょう。当たり前のことですが、どの大学を卒業したかにかかわらず、やはり社会に出てからの本人の頑張りが大切なのです。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役・丸山貴宏)