ただ企業が敬遠する要因であった、1つのところで仕事が続かないために転職回数が多くなっている人がまったくいなくなったわけではありません。いつの時代もこのタイプは存在しています。

 面白いことがあれば、同じ社内のプロジェクトを移っていくかのようにどんどん会社を変わっていく、アグレッシブな腕一本で勝負しているようなタイプなのか。それとも単なる堪え性のないタイプなのか。企業がそのタイプを見極めるにはしっかり面接を行うしかないので、転職回数の多い人はその点を面接で問われることになります。

●転職回数より気にすべきは自身の腹のくくり方

 結局のところ過去の転職回数は事実であり、変えようがないのですから、転職希望者がそんなことを気にしても仕方がありません。面白い仕事にアグレッシブな人はそのままでよいし、単に仕事が続かない人は自身のあり方を見直すべし、というだけの話です。辞めた過去をくよくよしても意味がない。

「会社を辞めたいと思っているのですが、まだ転職してから3年経っていないので経歴書の見た目が悪くなりますよね。もう少し我慢すべきでしょうか、それとも辞めたほうがいいでしょうか」

 これもよくありがちな質問です。私の答えは次の通り。

「どちらでもいいんじゃないですか」

 まだ我慢できるのならそうすればよいし、我慢できないのならすぐ次の会社を見つけて辞めればいい。最悪なのは、どっちつかずの気持ちで仕事に身が入らず、不平不満ばかりで転職活動もしないという状態です。

 我慢するのであれば不満の気持ちは封印し、積極的に仕事を面白くするように頑張る。我慢できないのなら、さっさと次の道を探して未来を切り開く。そうしないともやもやとした気持ちのまま、無駄な時間だけが過ぎていってしまいます。

 要するに、腹をくくっていないという状態が一番よくありません。我慢するなら腹をくくって仕事をし、我慢できないなら腹をくくって転職することです。(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)