「2011年の段階で豊洲新市場への移転の費用は3926億円と見積もられていたのに、2015年3月時点で5884億円まで膨れ上がってしまいました。特に建物の建設費用の増大が顕著で当初の3倍近い金額になっています。豊洲新市場の建物の坪単価は約220万円ですが、相場を調べると、大体50万円から60万円ですから、異常に高くなっています」

「これだけの費用を掛けているのに、完成した豊洲新市場には床抜けの恐れがあるとか、店舗の間口が狭すぎてマグロが切れないなど欠陥が多数あって、早くもクレームが殺到しています。その上、さらに盛り土をしていなかったことも判明した。どうしてこんなに金銭感覚がマヒしているのか、精査すると小池さんは言っているのです」

 そして、安全性にしても費用の増大にしても、疑問が絶えないのは、適切な情報公開が行われなかったためではないかと小池知事は考えている。この問題をクリアにするため、知事は都政改革本部会議を立ち上げて議題に載せ、ネット中継を通じて広く都民に伝えていく方針だ。

「これまで上げてきたように豊洲新市場の問題はいろいろとあるわけですが、どうしてこうなったのでしょう。たとえば、施設の欠陥は仲卸業者の声を無視して建設が進められてきたために起きました。仲卸業者は、使い慣れた築地市場からの移転に消極的でした。それで東京都は仲卸業者を移転反対派と見なして、彼らの意見を豊洲新市場の建設計画に取り入れませんでした」

「そのために使い勝手の悪い建物ができあがったというわけなのです。また盛り土の問題は、地方公務員としては巨大な予算や権限を握る都庁職員の体質というか、知事や議員などに対しても情報開示せずに進めて行くようなところもあったかもしれません。こうした、情報公開の仕組みを今回築地問題に関して整備すると思います」

「費用が膨れ上がった問題については、利権の存在が囁かれているのは事実です。豊洲新市場は建物だけでなく、土地の取得価格も高過ぎるのではないかと言われていますが、それで取り沙汰されているのが、東京都と東京ガスが天下りなどで癒着しているのではないかという噂です。こうした点についても、メスを入れるということであれば、小池さんはパンドラの箱を開けることになるでしょう」

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 小池知事は、記者会見で「小池都政では『既定路線でしょ』『一度作ってしまったのだから何も考えなくてよい』という考え方はとりません。情報公開をして都民の利益を第一に、特には政策の変更もして都政運営をする」と述べている。では、築地市場移転は延期の先に中止ということはありうるのだろうか。

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