仮に上陸に成功しても航空攻撃で補給が断たれ、後続部隊も来なければ孤島の部隊は全滅する。第2次世界大戦中の日本軍は10数カ所の孤島で飢餓に耐えつつ善戦して「玉砕」し、増援部隊の逆上陸も全て失敗、海上で撃滅された。

 東シナ海は中国軍にとって最近まで最重要だった「台湾正面」であり、そこを担当する南京軍区には新型の戦闘機が優先的に配備されてきた。南京軍区には戦闘機部隊が海軍機を含め約10個連隊は存在すると見られ、1個連隊(日本の航空団に相当)が定数の36機とすれば約360機、うち240機程度は日本のF15戦闘機とほぼ同等な「第4世代戦闘機」と考えられる。

 台湾空軍は戦闘機400機余を持ち、うち約330機はアメリカ製F16やフランス製のミラージュ2000など「第4世代戦闘機」だから、中国がそれと同程度の航空戦力を南京軍区に置くのは自然だ。中国空軍と海軍航空隊は全国に第4世代の戦闘機・戦闘攻撃機計700機以上を持つから、その3分の1程度は台湾正面に配備していると考えられる。

 これに対し航空自衛隊は現在沖縄の那覇空港の一角にF15戦闘機が約20機だけ、近く約40機にする計画だ。また福岡県の築城(ついき)にF2戦闘・攻撃機を約40機、宮崎県の新田原(にゅうたばる)基地にF15戦闘機を40機配備する計画もある。その半数は西日本の防空に充て、他の半数を尖閣方面に出せるが、1000km余の距離だけに、長時間尖閣上空で哨戒をするのは空中給油なしでは困難と考えられる。

 中国空軍の操縦士の練度はかつては低く、1958年の台湾海峡での空中戦で台湾空軍に大敗したこともあったが、20年前に4500機もあった戦闘機を約1400機に減らして近代化したから余裕もあるのか、操縦士1人当たりの年間飛行訓練時間は約150時間となり、日本と同等だ。

 日本側は上空からレーダーで敵機を見張り、戦闘機に指示を出す空中早期警戒機17機を持つが、中国は8機でその性能には疑問がある。電波妨害など電子戦闘能力でも日本側は優位と見られるが、日本側が東シナ海上空に出せる戦闘機は沖縄から40機、九州からも最大40機程度。これに対し中国は新型機240機を出せると考えれば、それだけの数的劣勢を電子技術で補えるか否かは疑問だ。

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