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イケメンスカウト、無料。

文・内藤みか

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原宿・明治神宮前の交差点が美男子スカウト激戦区だというのは、一部では有名な話だ。流行に敏感なおしゃれで綺麗な男の子が大勢行き交っているからである。

先日、私はその激戦区でスカウト見習いとなった。9月に新規オープンする「ギャルソンカフェ」のお手伝いだ。ギャルソンカフェというのはメイドカフェの逆ヴァージョンで、つまりは白いシャツと黒いベストに身を包んだ男の子が、お茶を運んできてくれるのだという。

可愛い男の子に片っ端から声をかければいいのだと思っていたが、スカウトの現場はそんな簡単なものではなかった。スカウトマンたちは通りの隅に立ったまま、ほとんど動かない。動くのは1時間に1度程度なのだ。

いたずらに体力を消耗せず、絶対この子が欲しい、という人に全エネルギーを賭けてぶつかるのが、プロスカウトマンなのだった。
彼らの眼力は確かで、イケメンの観察についてはそこそこ自信があるつもりだった私も、彼らには叶わなかった。

「あの子可愛いと思うわよ」
「ダメです。25歳超えてると思うので、年がいきすぎです」
「あの子はどう?」
「普通すぎますよ」
私が見つける子はほとんど彼らに却下された。

一緒に行動した2時間で、彼らが動いたのは3度だけ。しかも芸能人みたいにキラキラしているとびきりのイケメンばかりを雑踏の中から素早く選び出して飛び出していく。なぜ飛び出すかというと、他のスカウトマンに先を越されないためだ。その通りにはファッション雑誌や芸能事務所、ホストクラブの関係者らしい風貌の人が何人もいた。

「今、お時間いいですか?」
綺麗な男の子たちに声をかけ、彼らは粘り強く交渉している。けれどとうとうこの日は、一人の人材も確保することができなかった。ゼロでもいさぎよくあきらめて帰るという。

「絶対に妥協したくない。お客様が喜ぶ綺麗な男の子をお店に揃えたいから」
と店長自ら、毎日何時間もスカウトのために街角に立つ。彼女連れでも、この子だと思ったら迷わず声をかける。話を聞いてもらうために道の真ん中で土下座をしたこともあるという。

男の子のスカウトはネットでも行っており、「ギャルソンカフェ」のホームページには「お店で働きたい」という若い男の子たちからの問い合わせが数十件もあるという。

あまりに数が多いためこのたび緊急オーディションが開かれることとなり、私がその審査員を勤めることとなった。ああどんな男の子たちが出てくるのだろう☆ 今からとても楽しみだ。


(更新 2009/7/30 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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