ルイ(久保さん提供)
ルイ(久保さん提供)

 2年前の冬、母と娘が「ちょっとペットショップ見てくる」といつもの散歩のように出かけていき、ベンガル種の雄の子を連れて帰ってきた。

「可愛いでしょ!」と、喜んでいる娘と満足そうな両親の笑顔に、とても「返してらっしゃい!」と、近所で拾ってきた猫であるかのごとく言うわけにもいかなかった。

 一番驚いたのは、マスオさんよろしく私の両親と2世帯で暮らしてくれている優しい夫なのであるが、猫は今、テレワークのお供のように夫のデスクの横で日向ぼっこするのが日課になっている。

 まあ兆候はあった。ことあるごとに母と娘が「猫、可愛いよね」「ママが子供の頃は飼ってたんでしょ?」などと話しかけてくるのをかわしながら生活していた。

 私の本音は“責任持たないで可愛がる祖父母のような立場でいいなら飼いたいけど、自分の仕事と家のことでとても余裕がない”のであった。

 あと、過去に飼っていた猫の最期を見届けて、もうあの気持ちは味わいたくないのもあった。

 しかし、このコロナ禍に猫がいたことで家族全員、心が救われた。オンライン授業やテレワーク、3食の食事の提供などで、全員が精神的に疲労していた。きっと、猫がいなかったらこのつらさの逃げ場はなかっただろう。

 猫はそんな事情はどこ吹く風で、それぞれの部屋を行ったり来たり。きっと一日中家族がいることを喜んでいるのだろう。

 2歳になったベンガル猫ルイは、とにかく遊びたい盛りで誰にでも飛びついてくる。それもまた気持ちがほぐれる瞬間。

 しかし、ベンガル猫は野性味あふれているので完全に人間を獲物と思っているらしい。で、ロックオン中の顔がこれ(写真)。

(久保美也さん/東京都/50歳/音楽業)

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