私は今年70歳ですが、古希の記念にと、春に二段ベッドを買いました。妻は下段で、私が上段です。

 ベッドは初めてでしたが、なかなか使い心地がいい。夜はもちろんのこと、外出から帰ると、日中でもゴロンとなります。

 すると、わが家のちゃん(写真)が、ささっと駆け上がってきます。名前は、フクチャンピンクリンクリンウンニャペロペロオボッチャマ(通称フクちゃん)といい、雄の12歳です。

 ずいぶん長い名前だとお思いでしょうが、ちゃんと理由があるのです。

 生後3カ月くらいのとき、市で買ってきました。すっきり整った顔立ちです。最初の夜は台所の茶ダンスの陰に隠れて鳴いていましたが、次の日からは人懐こく寄ってきて、家の中がとても明るくなりました。

 さて、名前をどうしようか? そうだ、わが家で初めて飼った猫の名前がフクなので同じにしよう。それにチャンをつけ、ピンはおまけ。おめめがかわいいので、クリンクリン。ときおりウンニャと鳴くし、ペロペロと舌を使うさまがまるでオボッチャマ……。というわけでこの名前になり、以来12年になります。

 ベッドにやって来た彼を「よく来た。かわいい、かわいい」と、頭から背中、そして手足、しっぽまでなでてやります。ゴロゴロとのどを鳴らされると、こっちもうれしくなります。

 ときには、先に駆け上がった彼に、早くおいでと呼ばれることもあります。

 でも、初めから上手に上れたわけではありません。おそるおそる上りはじめ、疲れてリタイアしてしまう。あるいは、勢いよく突進し梯子から脚を踏み外してしまうこともありました。

 かわいさに目を細めながら、何ごとも努力と慣れなんだなあと自分にも言い聞かせています。

(千田正平さん 岩手県/70歳/無職)

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