一昨年の春、宇都宮の姪の家から引き取った雌の子。真っ白で目がきれいな淡いブルーだったので、「アクアマリンみたいな色だからマリンにしましょう」。わが家の猫ばあさんこと家内の提案で命名された。

 これがまた小さいくせに身軽で活発。カーテンによじ登るのは朝飯前。棚に跳び上がる、壁紙に爪を立てて虫をどこまでも追いかけまわす、置いてある物を落としまくる……。
「こんな猫見たことないわ」。野良猫を引き取り始めて数十年。何十匹となく猫の面倒を見てきた家内も、活発すぎるやんちゃなマリンには辟易(へきえき)した様子。

 マリンは年の近い先住猫モカ兄ちゃんとすぐ打ち解け、庭じゅう追いかけっこ。庭に飽き足らなくなると、今度は家じゅう駆けずり回る。お陰で床は傷だらけだ。

 一方で、疲れ果てると写真のように長々とのびて熟睡。その姿で昭和ヒトケタの私が思い出すのは、ベッドに横たわったマリリン・モンロー。彼女が来日し、モンロー旋風が巻きおこったのは昭和29年ごろだ。古いなあ。「それならマリリンにすればよかったかしら」と家内。猫にとってはどちらでもよいだろうが……。

 避妊手術を終えれば少しは落ち着くかと思ったら、どっこい、ますます意気軒高。嫌がる先輩ばあさん猫のナッツの後を追いかけ回すかと思うと、すっかりはしゃぎ仲間になったモカと相変わらずの狼藉三昧。揚げ句の果てに2階のベランダの手すりから転げ落ちる始末。幸いケガはなかったものの、さすがに本人も肝を冷やしたらしく、その後手すりに乗るときにはやや慎重になっているようだ。

 最近は、夜寝るときには必ず家内と一緒。うれしさのあまり、ゴロゴロ言う。その音が雷のように寝室に響く。とにかく甘え上手で叱れないのである。

(宮野 敬さん 神奈川県/86歳/無職)

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