のいるところに猫が集まる──そういう言葉があったかわからないが、「類は友を呼ぶ」ということわざはある。3年前に路上で子猫を保護して以来、犬派から猫派に転向したわが家。さらに2年前に生後6カ月の猫を引き取り、2匹の猫が暮らす猫屋敷となった。
 性格が正反対の2匹は、今や朝に夕に運動会を催し、並んでご飯を食べる仲良しだ。
 新聞に載った里親探しの記事を見ながら「もうこれ以上の猫は無理ね」と話していた終戦記念日の朝、子猫が道の真ん中に座っていた。
 まだ生後2カ月にもならない小ささだ。近寄っても逃げないどころか近づいてくる。いかんいかんと心の中で唱えながら、目をつぶって通り過ぎた。
 家に戻って家内に話すと、すぐに様子を見に出かけた。
 5分もしないうちに「ニャー、ニャー」と、かぼそい鳴き声と共に家内が帰ってきた。それからが大変だ。近所からケージを借りてくる、先輩猫たちが使っていた子猫用のトイレを探す、キャットフードをお湯に浸して食べさせるという大騒ぎとなった。子猫は、病気を持っていると長生きは難しく、他の猫と接触もさせられない。しばらく隔離の身の上となった。
 先輩猫はその雄の子猫、ジョコ(写真中央)が見たくてたまらず、ドアのあたりをウロウロ。子猫が病気を持っていないことを祈るばかりだったが、検査の結果はセーフだった。
 残るのは里子に出すか否かの難しい決断だ。世話をするうちに情が移り、可愛さは増す。里親探しの決心はぐらつき、ハムレット的心情にさいなまれた。
「耐え難きを耐え」わが手で育てよと、おそれ多くも昭和天皇の声が聞こえるような気がして、結局、ジョコは3匹目の猫となった。

(森隆政さん 栃木県/64歳/無職)

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