第1137回 引っ越し4度 穏やかエルの生涯

2015/08/06 10:35

 犬のエル(写真奥)は年老いたおばあちゃんと仲良く暮らしていました。一緒に寝て、一緒にごはんを食べ、エルはおばあちゃんの自慢の娘でした。しかし、そんな幸せは長く続きませんでした。おばあちゃんの認知症が進んだのです。
 おばあちゃんはエルと一緒に暮らせるグループホームを見つけて入り、私とエルはそこで出会いました。
 おばあちゃんはそのホームで亡くなりましたが、最期までエルのことを心配していました。
 大丈夫! エルは私と一緒に暮らすよ、と言うと安心して笑っていました。
 私はそのホームを定年退職し、エルをわが家に迎えました。エルにとっては3度目の引っ越しです。
 退職後に、私は仲間と小さな古い家を借りてデイサービスを立ち上げました。
 ある日、その家に入ると、生まれたばかりの子猫の声が聞こえましたが、姿は見えません。翌日、職員と一緒に畳を上げ、床下を捜すと3匹の子猫がいました。
 3匹の里親を探し、ほっとしたのもつかの間、また鳴き声が。小さなかよわい鳴き声です。
 呼んでも出て来ないので業者に頼むと、壁のすき間に挟まっているとかで、壁を壊す騒ぎになりました。
 なんとこの子猫は4日間、暗闇で鳴き続けていたのです。彼は私が育てることにして連れ帰りました。名前は「壁ちゃん」。後に改め、「カーベ」です。
 カーベ(同手前)は母の温もりをエルに求め、エルもそれを許してカーベを守りました。カーベは現在4歳。柿の木に登ったり、メジロを狙ったり、一日中跳びはねて遊び回っています。
 エルは15歳まで生き、1年前、おばあちゃんのいる天国に4度目の引っ越しをしました。そして、私たちを見守ってくれている……と思っています。

あわせて読みたい

  • 第1135回 良い加減 祖母とアンちゃんの日常

    第1135回 良い加減 祖母とアンちゃんの日常

    週刊朝日

    7/23

    第1412回 間一髪で助かったモモ

    第1412回 間一髪で助かったモモ

    週刊朝日

    2/25

  • 第1120回 いたずら花子を見守る雄一郎

    第1120回 いたずら花子を見守る雄一郎

    週刊朝日

    4/2

    【岩合光昭】「ずっと一緒にいたいニャー」おばあちゃんと仲良しの雄猫
    筆者の顔写真

    岩合光昭

    【岩合光昭】「ずっと一緒にいたいニャー」おばあちゃんと仲良しの雄猫

    週刊朝日

    8/6

  • 第1242回 ほほえましい2匹の散歩

    第1242回 ほほえましい2匹の散歩

    週刊朝日

    9/14

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

コメント

カテゴリから探す