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第45回 家族だけど、あえて関わらない

文・大谷由里子

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マンガ/上大岡トメ

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 ある時、うちの母がわたしの弟である長男たち家族に言ったらしい。

「あんまり、関わってうっとうしがられるのはイヤだから、できるだけあんたたちに関わらないようにするね」

 それを聞いた長男は、母を怒った。

「関わるから家族になるわけで、関わっていたら、お互いイヤなこともあるかもしれないけれど、そうやって、家族になっていくわけだろ」

 その言葉を言われて、母はとってもうれしかったらしく、よくその話をわたしにしてくれた。

 とはいえ、もちろん関わるということは、いいことばかりでもない。

 毎日、いろんなことが起きる。

「ほんまに、はっきりしてるわ」と母が言うから、どんなことかと思ったら、お中元をもらったときのこと。

 全部並べて、「好きなものを持っていっていいよ」と長男の嫁に言うと、高価なものやめずらしてものだけ選んだそう。

「お茶もいっぱいあるよ」と言うと、「お茶は、いいです」との返事。

 それを聞いたわたしは、思わず言った。

「はっきりしてていいやん。いらんもの押し付けられても困るやん」

「そのとおりやね」

 と母も笑っていた。

 そんな長男の嫁も次男の嫁も、わたしの父の介護は、実の娘のわたしよりもはるかによくしてくれた。

 わたしは、感謝しかない。

 年月が人を変えることもある。

 結婚当初からお正月になると、長男も次男も嫁の実家に帰っていた。

 最初は、母も少し寂しかったかもしれない。

 でも、「そんなことを気にしていると思われたくない」と、母は大晦日からホテルをとって、正月はホテルで友人たちと過ごす。


(更新 2015/12/29 )


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プロフィール

大谷由里子(おおたに・ゆりこ)

 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。