「僕は、神戸大学の学生だった頃、阪神・淡路大震災で友人を亡くしました。あの時から、僕にとって人生の中でいちばんのリスクは、『やり残したことを持って死ぬこと』になったんです」

 友人で仙台出身のライフプランナーの女性が言った。

「わたしは、人に『人生設計をしなさい』と、ずっと言ってきた。80歳まで生きることを前提として、保険も預金も年金もアドバイスしてきた。でも、東日本大震災で何人もの友人や知人を亡くした時に思った。預金も我慢も大切だけれど、生きているうちにやりたいことをやることも大切だよね」

 わたしは、ずっと生きるつもりで学びたいと思っている。でも、明日死ぬかもしれないと思って行動している。

 理由は、「また今度」「そのうち」と思って、後悔していることがいっぱいあるから。

「そのうち会いに行きますね」

 と、昔お世話になった社長が「久しぶりに会いたい」と電話をくれた時に言った。

 ところが、その社長は、それから半年後に亡くなった。

「なぜ、あの時、すぐに会いに行かなかったのか」

 今でも後悔している。

 仕事仲間が、「相談したいことがある」と、連絡をくれた時に、「また、電話する」と、切った。

 そのままその電話のことを忘れていた。

 そして、その一年後、彼は自分の命を絶った。

 なぜ、彼のために時間を作らなかったのか、今でも心が痛む。

 寿命と健康は違う。

 健康だから、命がいつまでも続くとはかぎらない。

 だからこそ、今やれることを今やるって大切。

 やり残さない人生って大切。

「まだまだ、人生がある」

 と、思わずに、

「今日も人生があってよかった」

「いっぱいやれてよかった」

 と、思える毎日でありたい。