大雪の成人の日に

2013/01/17 14:23

 成人の日、東京では驚くほどの雪が降りました。
 朝はまだみぞれだったのですが、10時頃には雪が積もり始め、あっという間に一面、銀世界に。
 上京してきてもう35年になりますが、東京で昼間のうちにこんなに積もったのは初めてのような気がします。
 爆弾低気圧が接近しているとニュースで言ってたのに、甘く見ていました。昨年の夏、ゲリラ豪雨にあれだけ驚いたんだから、それが雪になればこうなるのも当然ですよね。
 でも、関東の新成人のみなさんはかわいそうでしたね。せっかくの晴れ着なのに雪で濡れるし、自動車の移動も大変だし、おまけに次々に電車が止まるのを見ていると、会場までたどり着くのも一苦労じゃないかと、家内が心配していました。去年、我が家では娘の成人式を迎えたので、なおさらリアルに想像できたのでしょう。

 夕方になっても、まだまだ雪がやむ気配はありません。10センチは積もっている感じです。
 日のあるうちに玄関前だけでもきれいにしておかないと、明日の朝が大変だなと、雪かきを始めました。
 スコップをつっこみ持ち上げようとすると、想像以上にずっしりとくる。重い雪です。湿気をたっぷり含んでいる。そのせいで積もりが早いのでしょう。
 たった30分くらいですが、息が荒くなります。運動不足ですねえ。
 北国の人たちはこれ以上のことを毎日やってるのか。大変だなあと思っていると、道の向こうから母娘連れが歩いてきているのに気づきました。

 成人式からの帰りなのでしょう。傘を差し、積もった雪に足を取られないようにゆっくり歩いてきます。
 娘さんは晴れ着姿なのですが、帯や着物を濡らさないようにビニールを肩からかけて、裾も雪にふれないようにたくしあげています。
 せっかくの晴れ舞台なのに悔しいことでしょう。思わず雪かきの手を止めて「たいへんですね。がんばってください」と声をかけました。
 いきなり見知らぬおじさんに話しかけられて驚くかなと思いきや、娘さんは晴れ晴れとした笑顔で「ありがとうございます」と返事をしてくれました。
 その一瞬だけ日差しが見えたような、いい笑顔でした。
 こんな大雪だけど彼女にとってはやっぱり大切な一日なんだろうなあと思わせる表情に少し力をもらったような気がして、いい気分で雪かきを続けることができました。

 まあ、翌日、腰と背中が張って辛かったのには閉口しましたが。

中島かずき[電人N]

中島かずき[電人N]

劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇”いのうえ歌舞伎”を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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