マチュピチュ旅行記1 リマ、深夜0時 |AERA dot. (アエラドット)

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マチュピチュ旅行記1 リマ、深夜0時

文・中島かずき

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『仮面ライダーフォーゼ』がすべて終わり、『ZIPANG PUNK』もあげて、ようやく一息ついたので、少しまとまった休みをとることにしました。
『フォーゼ』をやっていたこの二年近く、毎日が尻に火がついたような状態だったので、休む気にもならなかったのですね。

 というわけで、マチュピチュに行ってきました。
 そろそろ行っておかないと年齢的にもきついだろうなということで決断しました。
 マチュピチュのあるペルーまでは、飛行機でもトランジットを含めればざっと一日がかり。今回はエアカナダを使ったので、トロント経由で首都のリマに向かいます。
 ツアーですが、添乗員と一緒ではなくリマで現地ガイドと合流するというもの。ペルーといえば、フジモリ大統領だった十年前ぐらいは結構テロが起こっていた印象があります。リマなどの首都や一部の地域は物騒だと聞き、行きの飛行機ではかなり心配しました。
 だって、成田でフライトチケットをくれる旅行会社の係員が、「日本人は誘拐されたり、腕時計目当てに片腕切り落とされたりするから気をつけろ」とか「メキシコでは日本人が一日一人殺されてるから、くれぐれも気をつけて」とかいうんですよ。
 フライト直前にそんなことかまされたらビビるでしょう、普通。
 添乗員いないし、結局ツアー参加者は僕と家内の二人きりだったし。
 落ち着こうと、チケットと一緒にもらったペルー旅行の注意書を読むと、「ホテルのチェックイン時渡したパスポートは必ずその場で返してもらえ」とか「入国時に出国カードにスタンプを押されるが、そのスタンプが不明瞭だと出国できない可能性があるので、はっきり押されているか確認しろ。薄かったらその場で押し直してもらえ」とか「空港についたのが深夜だと、ロビーで大きな荷物は外から見られないようにしろ」とか、ますます不安をあおるような事項がズラズラ並んでいる。到着時刻は現地時間の午前零時すぎ。まさに真夜中ですよ。
 たまの旅行だというのでビジネスクラス奮発したのに、もう、「現地ガイドが来てなかったらどうしよう」とか「ガイドのふりして悪い奴が来て、そのままタクシーで連れ去られたらどうしよう」とか悪い想像が止まらなくて、行きの飛行機はまんじりともしませんでした。あ、それは嘘だな。不安から逃れるためにグーグー寝ました。おかげで、行きの飛行機で原稿書こうと思ってたのに、まったく手が着けられなかった。

 で、リマに着きました。
 深夜の空港、僕たちの飛行機の客以外は誰もいない閑散とした見知らぬ土地、みたいのを想像してたんですが全然違った。
 さすがは南米のハブ空港。12時すぎても発着待ちのお客さんでいっぱいです。照明も明るいしにぎやかだし、イメージと全然違う。入国審査もスムースだしちゃんとスタンプももらった。
 出口を出ると、ちゃんと現地ガイドのステファニーさんも待っていました。
 まあ、ガイドがいなけりゃ大問題なので当たり前といえば当たり前なのですが。
 しかも20代半ばの細身の美人。中学まで日本にいたとかで日本語が流暢で、こちらの気持ちもよくわかる。現地ガイドっていうから中年の「リマのことなら任してよ」みたいなどっしりしたおかあさんのような人が来るかなと思っていたので、これは予想外でした。
 この辺から僕もだいぶリラックスしたようで、家内が僕の顔色を見て「ガイドさん来たら、俄然元気になってきたね」と囁きました。我ながら現金なものです。
 翌日はリマ市内の観光。
 かつてはテロの危険で立入禁止だった旧市街も、観光資源として活用するため、警察官などを配備して、今では安全なのだとか。
 
「確かにリマは治安は悪いです。でもガイド付きのツアーなら大丈夫ですよ」と、ステファニーさんも笑います。

 治安に関しては、実はマチュピチュで驚いたことがあったのですが、長くなったので続きはまた次回にしましょう。


(更新 2012/11/ 1 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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