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『シレンとラギ』、大阪公演の無事に感謝

文・中島かずき

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 劇団☆新感線の『シレンとラギ』、大阪公演が無事に幕を閉じました。
 とりあえず大きな事故もなく、千秋楽を迎えられたので、関係者一同ホッとしています。

 このところ、新感線の公演はトラブル続きでした。
 一昨年の『鋼鉄番長』では、主役の橋本じゅんとゲストの池田成志君がけがをして、公演を一時期休演しなければなりませんでした。池田君の方は役の振り替えで何とか対応できたものの、主役の橋本君はどうにもならず一時期は公演中止かというところまできたのですが、三宅弘城君が代役を受けて下さり、なんとか公演続行できました。
『港町純情オセロ』は稽古中に東日本大震災、『髑髏城の七人』は、公演直前の小栗旬君の体調不良と大阪初日のチケット販売ミス、吉田メタルの骨折による降板と、毎回何かが起こり公演が続けられるか瀬戸際の時期があったのです。
 ですので、今回の『シレンとラギ』大阪公演が、けが人も出ずに無事に終了できたことは、ほんとうに嬉しいことでした。
 いのうえも、パンフレットの寄稿や打ち上げの挨拶でそのことに触れていたくらいですから、よっぽどだったのでしょう。

 今回は、古田新太、橋本じゅんを筆頭に劇団員が全員そろっていることも現場に安定感を与えているのかもしれません。
 初参加の藤原竜也君も、稽古場などで、古田や橋本、ゲストの高橋克実さんなどとリラックスして会話している様をみていると、そう感じられます。藤原君と永作博美さんはダブル主演ではありますが、看板は背負いながらも、いざとなれば古田が支えるという安心感がある感じがしています。

 19年ぶりに出演する永作さんには、かなりヘビーな役をお願いしました。
 新感線のヒロインとしては、今までで一番しんどい思いを抱える役かもしれません。
「新感線だから、明朗活劇でもう少し発散できる芝居かと思ったかもしれないけどごめんね」と言うと彼女も「ちょっと、そう思ってた」と苦笑いしていましたが、それでも華奢な身体でも芯が一本しっかり通り、難役をよく演じてくれています。ありがたいことです。

 高橋克実さんは今回初参加ですが、実は20年前から、交流はあった関係です。
 当時、高橋さんは「離風霊船」という小劇場劇団に所属していました。大阪公演を行う扇町ミュージアムスクエアは、二階に新感線の稽古場があり、他の劇団が公演を行う時は、新感線の役者達も仕込みを手伝っていたのです。
 その頃の新感線はまだ大阪で1500人集めればいいくらいの劇団でした。
「あの頃、二階の小さい稽古場でやってたのにねえ」と、驚いたような懐かしそうな顔をしています。
 規模が大きくなったとは言え、新感線にはどこか小劇場劇団の匂いが残っているようで、稽古場から劇場に入っても、ご自身の若い頃を思い出して楽しんでいるようです。

 東京公演は5/24から始まります。7/2までとまだまだ先は長いです。
 改めて最後まで無事にやりとげられることを祈っています。
 


(更新 2012/5/17 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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