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二ヶ月半をやりきった「ワカドクロ」充実感と寂しさと

文・中島かずき

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 とうとう『髑髏城の七人』が大千秋楽を迎えました。
 東京大阪あわせて68回。二ヶ月半近く行った公演です。劇団☆新感線としても最長でした。
 それでも大楽まで当日券を求めて並んで下さった方も多く、本当にたくさんのお客さんに支えられてここまでやってこれたのだなということを実感します。
 このご時世に、連日満員というのもなかなかないことのようです。
 劇場に足を運んで下さった方、来られなくても応援して下さった方、本当に有難うございました。
 
 稽古が始まったのが6月24日ですので、梅雨から夏をすぎ秋になるまで一つの作品に関わったチームも、これで解散です。
 これだけ長いので、しんどかった部分はあるでしょう。特に最後の一週間、休演日開けに集中が切れてしまい立て直すのに大変だったという役者の声も聞きました。
 精神的・肉体的な疲労もピークを迎えていたと思います。
 それでも、つい先週までは、青山劇場にいけば現場があった。それが今日はもう、誰もいない。
 毎日行く必要はない作家の僕でさえ一抹の寂しさを感じているので、現場に関わったスタッフ・キャストは、朝起きて、「あ、もう劇場にいかなくていいのだ」と思うと、解放感とともに喪失感もあるのではないでしょうか。
 今は、つかの間の休日を楽しむ者、新しい仕事に向かう者、人それぞれだと思います。 

『髑髏城』も歴史のある作品になってしまいました。僕が思っている以上に、新感線の代表作という看板は、重いのかもしれない。
 すべてが終わった打ち上げで、「実は・・・」と語ってくれた、若いキャストが感じていたプレッシャーを聞くと、改めてそのことを思い知らされました。
 そういえば大阪初日、ガチガチに緊張していた小栗旬くんが、千秋楽を迎える頃には、楽屋でも非常にリラックスした笑顔になっていたのが印象的です。
 自分たちがただ好きなだけで作っていた作品が、どれだけ大きなものに育っているのか。外からの声を聞かなければわからないものです。
 と、同時に、彼ら若い世代と交わることで、僕らもまた刺激も受けたし反省もさせられた。自分たちの立ち位置を再確認することにもなった。
 彼らの期待に、どこまで応えられたか。不安とプレッシャーに立ち向かう若い肉体に、こちらがどれだけバックアップできたか。今までの芝居づくりに甘んじていなかったか。そう問われる瞬間もありました。
 彼らにしてみれば、芝居づくりにおいて、もっとこちらに踏み込んできてほしいという思いもあったようです。

 でも、それを踏まえた上で、先につながる話もできた。
 今回の『ワカドクロ』は、『髑髏城の七人』という作品にも、僕たちが作るここから先の作品にとっても、新しいスタートが切れた芝居になったと実感しています。

 でも、なによりもまず来春の新作を書かなければ。
『シレンとラギ』というタイトルで発表された新作です。
 主演は新感線初参加の藤原竜也くんと、およそ20年前、まだribbonのメンバーとして参加して以来の永作博美さん。
 ゲストは高橋克実・三宅弘城・北村有起哉・石橋杏奈という方々。
 新感線も古田新太、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと他劇団員フルメンバーが出演します。
 うわ、改めてこう書くと大変だぞ、こりゃ。人数多い上に濃い。
 頑張りますよ。頑張らざるを得ないですもの。 


(更新 2011/10/13 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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