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手軽に発信できるツイッターだからこそ

文・中島かずき

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 先日の地震の直後、携帯も固定電話もつながらなくなったのですが、インターネットだけは大丈夫で、ツイッターも生きていました。
 知り合いの安否確認なども出来て、「こういう時ツイッターは便利なものだな」と感心していましたが、すぐに「どこそこでケガをして動けない」という悪質な嘘ツイートが流れ出したりして、少し風向きが怪しくなってきたのを感じました。

 被害の大きさがわかり、福島の原発事故が知られる頃になると、ツイッターには人々の不安のつぶやきが並んでいました。
 もちろん、被災地情報などの必要なつぶやきもあります。でも、どれが本当でどれがデマか、見極めるのもなかなか大変でした。
 こういう時こそ冷静でいなければならないと思いつつも、ツイッターのネガティブな書き込みを読むとこちらまで気持ちが沈みます。
 動かせない〆切があり、どうしても集中して原稿を書かなければならない時期だったので、基本的には家で仕事をしていましたが、色々気になってついついニュースを見てしまう。原発事故も心配で、ツイッターで情報を探してしまう。結局仕事も出来ない。不安は増すばかりと悪循環になりました。
 
 そんな時に、石原都知事の「天罰」発言に関するツイートが、流れてきました。
 彼に関しては新銀行東京やトーキョーワンダーサイトなど、この数年の発言や仕事ぶりなどに不快感を持っていました。
 だからこの発言を聞いた時、カッとなって、「こんな発言許せない」とツイッターに書き込みました。
 ですが、このツイートに関してある方から意見をもらいました。
「この『天罰』発言に関して、意図的に石原氏の発言の一部を取り上げて怒っているのではないか」と。この方は、別に石原氏を擁護するつもりはないが、ただ、彼の発言の一部を取り上げて意図を曲解させ、悪感情を広めることは危険ではないか。みんな不安な時には、悪い感情は広がりやすい。「小さな怒り」が広がって「いきすぎた怒り」になりやすいのではないか。今、ツイッターで怒りの発言をするのは好ましくないというようなことを、冷静な言葉で伝えてくれました。
 それを読んで僕はハッとしました。
 確かに、僕は石原都知事が嫌いです。
 あとで、「天罰」発言に関しては謝罪をしましたが、それでも、あの状況で「天罰」などという言葉を選ぶことが、あまりに無神経だと思います。謝罪したことは受け止めますが、それでも、都知事という公人としても、作家という言葉を使うプロとしての立場からも、軽率な発言をしたと、今でも僕は思っています。
 でも、その方の指摘により、僕のツイートにも、「自分の『反石原』の意見をこの機に乗じて広めよう」という計算があったことに気づかされたのです。
 その気持ちは、決してほめられたものではない。よこしまな気持ちと言ってもいいでしょう。
 これはまずいと、すぐに、自分の発言を削除しました。
 
 そして改めて思ったのです。
 ツイッターでの発言はあっという間に増殖し伝播する。そしていつまでも残る。
 そう思ってつぶやかないといけないのだなと。
 ブログだったりツイッターだったり、個人が簡単に世間に対し発信出来るメディアを持つことが出来る。
 でも、だからこそ、一つ一つの言葉の重みを感じて、発信しなければならないのではないか。
 もちろん、日常のどうでもいいような話でもいいのです。ただ、その言葉は残っても構わないという認識さえしていれば。

 ツイッターは、簡単に発信出来るが、うかつな発言もしやすくなる。
 諸刃の剣だと実感しました。


(更新 2011/3/31 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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