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『鋼鉄番長』休演のお詫びと再開へのエール

文・中島かずき

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 劇団☆新感線公演『鋼鉄番長』が休演を重ねていることを、劇団に関わる人間の一人としてお詫び申し上げます。

 40を越えた役者達が身体を張って全力投球する。そういう無茶をやるから面白いと、以前このコラムでも書きました。
 もちろん、役者はその無茶を支えるために身体に気を遣い、スタッフはケガがないようにケアしていく。体調管理に関しては、いつも以上に気をつけていたと思います。
 それでも、こういうことは起こってしまう。
 楽しみにしていたお客様や、関係者のみなさんに多大な迷惑をかけたことは間違いありません。
 ケガで降板した池田成志や、現在療養中の橋本じゅんもそのことはよくわかっているでしょう。
 
 池田成志がケガをした回は、僕も客席で観ていました。
 ラスト近く、何気なく階段を降りた時彼の動きが不自然で「あれ、ひょっとしたら」と思ったら、アキレス腱を切っていました。
 その日の終演後、代役を河野まさとにして公演を続行するという方針を聞いて帰ったのですが、後日、橋本じゅんが腰を痛めて動けないので休演するという連絡を受けて驚きました。

 大変なことになったなと思いましたが、今回は自分の作品ではないので、僕も部外者と言えば部外者。
 それじゃなくても各方面への対応で大わらわであるだろう制作チームには、こちらから「どうなったか?」という問い合わせを入れるのも気がひけていました。
 じゅんが演じた兜剛鉄は、とにかくテンションの高いよく動く役です。腰の痛みがひいたとしても、ごまかしながら出来るような役ではない。代役を探すにしても、動けてギャグセンスがある。しかも主役を支えられる役者はそう簡単にはみつからないだろう。かといって、全部休演にするにはいろいろな意味で、影響が大きすぎる。
 そんなことを考えながら、一人でやきもきしていました。
 
 ですので、三宅弘城くんが橋本じゅんの代役で出てくれるということを聞いた時には、正直ホッとしました。
 彼はナイロン100℃に所属していますが、新感線にも二度ほど出ています。
『直撃ドラゴンロック轟天2』の鉄腕イワンと『髑髏城の七人 アオドクロ』の刀鍛冶カンテツ役。
 ネタ物もいのうえ歌舞伎も体験している。
 身体も動くし、笑いもとれる。
『アオドクロ』のカンテツは、いのうえ歌舞伎史上で一番笑わせてもらったキャラだと思っています。
 グループ魂のドラマー石鹸としても活躍している彼のスケジュールがよくあいていたなと、これは演劇の神様に感謝しなければなりません。
 もちろん、この役を受けてくれた三宅くんにも最大の感謝を。
 大変だとは思いますが、今、10/30の再開に向けて、全員一丸となって稽古していることでしょう。

 今後のスケジュール、チケットの払い戻しなどに関しては劇団☆新感線のサイトでご案内をしています。
 急な休演で多くのお客様にご迷惑をおかけしたこと。予定されていたキャストが降板してしまうこと。その事に関しては、本当にお詫びしなければなりません。
それは踏まえた上で、今は、舞台の幕をあけようと頑張っている『鋼鉄番長』のキャストやスタッフ、治療に専念している橋本じゅんや池田成志に、心から「頑張れ」とエールを送りたいと思います。


▽『鋼鉄番長』公式ホームページ


(更新 2010/10/28 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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