【Vol.23】文筆家・甲斐みのりさんがおすすめする「大江戸骨董市」と併せて巡りたい場所 |AERA dot. (アエラドット)

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「大江戸骨董市」で素敵なものを手に入れた、文筆家の甲斐みのりさん。骨董市を堪能した後は会場近くの丸の内エリアを散策し、おいしいものや面白いものとの出合いを求めて小さな旅に出かけましょう。

【Vol.23】文筆家・甲斐みのりさんがおすすめする「大江戸骨董市」と併せて巡りたい場所


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 東京は、“寄り道”をこよなく愛する者にとって理想的な街。おのおの個性を持ったエリアや駅ごとに、さまざまなお店や名所がぎゅぎゅっと密集しているから、出かけるたび本来の目的を果たすのみに留まらず、ちょっとの合間にお茶をしたり買い物をしたり、あらゆる“ついで”を楽しめる。 

 大江戸骨董市で暮らしの道具や美術品に触れたあと、まず立ち寄ったのは、100年近い歴史がある「東京會舘」。東京會舘の初代本舘が誕生したのは、日本に西洋文化が広がり始めた1922年。誰でも利用できる世界に誇れる社交場として、レストラン、バー、宴会場、料理教室などをそなえ、長きにわたり愛されてきた。

 そんな東京會舘の本舘1階にある「ロッシニテラス」の、皇居を望むゆったりとした席で、食事やデザートを味わう贅沢なひととき。東京會舘の名物で、初代製菓長が雪山をイメージして発案したケーキ「マロンシャンテリー」は、生クリームと裏ごしした栗のみのシンプルな素材で、その分パティシエの高い技術を要する。なめらかに口福をもたらす上品な甘さが体に染み入り、大江戸骨董市で会場を歩き回った疲れもどこへやら。基本の生クリーム味の他に、季節ごとの限定商品も出ているので、繰り返し通う楽しみがある。

 その後は、東京會舘からほど近い「一保堂茶舗 東京丸の内店」へ。京都に本店を構える一保堂は、抹茶、玉露、煎茶、番茶などを揃える日本茶専門店で、約300年の歴史がある。扱う商品は茶筅や急須で淹れるお茶からティーバッグまで、ラインアップも幅広い。東京丸の内店は、京都本店以外では唯一の路面店で、「買う」「楽しむ」「学ぶ」の三つの異なる空間があるのも見所だ。

「買う」は、試飲しながら好みのお茶を選べるカウンター式の売り場。スタッフに種類ごと特徴を伺いながら好みを選べる。カップでのテイクアウトサービスも行っているから、気軽に日本茶で一息つけるのも嬉しい。

「楽しむ」は、売り場に隣接する喫茶室「嘉木」にて。「淹れ方体験付きメニュー」や、丸の内店限定でフルコース仕立ての日本茶メニューなどがある中から、ティーポットでサーブされるお茶とお菓子のセット「玉露 滴露」をいただく。日によって異なるお菓子は、和菓子屋による美しい手仕事。各テーブルに用意された荷物入れは、京都の帆布かばん店「一澤信三郎帆布」の別注品だったり、店舗のスタッフユニホームは、京都のシャツ専門店「モリカゲシャツキョウト」が手がけていたりと、本店がある京都の気配も感じられる。

 最後の「学ぶ」は、定期的に開催される予約制のお茶の淹れ方教室や、イベントを通して。当たり前に身近にあるのに、知らないことも多い日本茶の知識を得ることができる。今度は寄り道ではなくて、日本茶の教室を一番の目的に再訪しよう。

 寄り道最後は、旧東京中央郵便局の局舎を一部保存・再生して作られた商業施設JPタワー「KITTE」の2・3階に所在する「インターメディアテク」。日本郵便株式会社と、東京大学総合研究博物館が協働運営する入場無料のミュージアムで、東京大学が1877年の開学以来蓄積してきた、学術標本や研究資料などが常設展示されている。

 展示室の床は旧東京中央郵便局時代からの木張りで、展示に用いられるケースやキャビネットの一部も、実際に東京大学の教育現場で使用されてきたものを利活用。時空を超えて19世紀の静謐な博物館にタイムスリップしたような劇的な感覚を覚える。

 陸海の大型動物の骨格標本、剥製、鉱物、古典籍、数理模型、楽器、古い地球儀や時計……。巨大なものから小さなものまでが不規則に配置され、前後左右、目を向ける先々で、驚いたり見とれたり、好奇心が刺激される。来場者はみな真剣な眼差しで展示物に見入り、ここが賑やかな東京駅のすぐ目の前にあることをしばしの間忘れてしまう。

 インターメディアテク内は撮影禁止だが、東京大学医学部本館の小講堂で使用されていた机や椅子を移設し、昭和初期の東京大学の教室を再現した「アカデミア」というスペースのみ、フォトスポットとして撮影可能。壁には歴代教授陣の肖像画が掲げられ、ファンタジー小説の世界さながらだ。

 3階のショップコーナーでは、企画展の図録や、東京大学の最新研究から生まれた商品、オリジナルグッズを販売しており、一風変わった東京みやげを選ぶのにちょうどいい。

 大江戸骨董市後の寄り道は、どこも時間の中を旅したような高揚感を得られる特別な空間。一日存分に旅気分に浸る、東京の休日を過ごした。

文:甲斐みのり

文筆家。静岡県生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。旅、散歩、お菓子、地元パン、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨、暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。食・店・風景・人、その土地ならではの魅力を再発見するのが得意。地方自治体の観光案内パンフレットの制作や講演活動も行う。
http://www.loule.net/

写真:伊佐ゆかり
撮影協力:
東京會舘
https://www.kaikan.co.jp/
一保堂茶舗
http://www.ippodo-tea.co.jp/
JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」
http://www.intermediatheque.jp/

空間・展示デザイン  (c) UMUT works

本企画は『東京の魅力発信プロジェクト』に採択されています。
このサイトの情報は、すべて2019年8月現在のものです。予告なしに変更される可能性がありますので、おでかけの際は、事前にご確認下さい。

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