【Vol.29】在都外国人が語る 日本と故郷、それぞれのお祭りの魅力
子どものころに体験した
故郷のお祭り
ジェナさん:私はカナダのケベック州で育ちましたが、最も伝統的なお祭りは3月のメープルシロップの収穫祭です。サトウカエデの樹液を集めて、カエデ糖の製造小屋で作ったシロップをベーコンや卵などと一緒に、家族や友達と食べて祝います。
ギヨームさん:ケベックにはそんなお祭りがあるんですね。フランスとケベックは、ともにフランス語を話す地域だけれど、伝統や文化が少し異なっていて面白いですね。
ジェナさん:ええ。そしてティール(Tire)という熱したシロップを冷たい雪の上に置き、飴みたいに固まったらスプーンのような棒で食べるんです。それから皆で森を散歩して、春が来るのを祝います。日本では大がかりなお祭りが多いですが、この収穫祭は週末にごく親しい人たちだけで集まって行う、伝統行事のようなものです。
ギヨームさん:日本のお祭りは、1年かけて準備するものもありますよね。フランスのお祭りも、日本のように時間をかけて準備することは、あまりないかなあ。
ジェナさん:確かに、日本ではお祭りの前に、何週間も踊りを練習したりする風景を見かけます。ギヨームさんの思い出のお祭りは?
ギヨームさん:ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏にある、シャロン(Challans)という街の「4木曜日のお祭り」(La foires des 4jeudis:7月と8月の合計4回の木曜日に開かれるお祭り)です。お祭り当日、街は20世紀初頭のような雰囲気になり、人々は当時の衣装を着て、当時の音楽を演奏するんです。
ジェナさん:何か演奏したんですか?
ギヨームさん:いえ、同時に開催されるワークショップに参加していました。祖先たちの習慣や伝統、生活について学ぶんですが、こうやって若い人たちと彼らの祖父母や先祖たちの間で記憶を分かち合うんですね。また、小さな街において皆で踊ったりおしゃべりしたり、コミュニティーのつながりをつくるという意味もあると思います。
お祭りが始まるときのスピーチに
日本らしさ?!
ギヨームさん:東京のお祭りで好きなところは?
ジェナさん:浅草のお祭りで、お好み焼きやたこ焼きを買ったときは感激しました。ケベックでは、通りで食べ物を売ることが禁止されているんです。
ギヨームさん:そうなんだ。フランスでは屋台やフードトラックは禁止されていないけれど、日本のお祭りの屋台のほうがわくわくするかな。
ジェナさん:あと、普段の日本では食べながら道を歩く人はいないけれど、お祭りのときは特別で、みんなが楽しく食べ歩きをしている。その雰囲気が好きですね。
ギヨームさん:そうそう、お祭りの間はタブーがないのはいいですよね。
ジェナさん:あと、日本のお祭りは始まるときにスピーチがありますよね。市長さんとかが一言話す、みたいな。代々木公園のよさこい祭りに行ったとき、ステージで話しているのを見たことがあるのだけれど、これを聞くといつも、あぁお祭りが始まったなって思うんです!
日本人におすすめしたい
私たちの国のお祭り
ギヨームさん:そんなところに日本らしさがあるんですね(笑)。ちなみに故郷のお祭りで、日本の方におすすめしたいものはありますか?
ジェナさん:夏に行われる、モントリオールのジャズフェスティバルはおすすめですね。たくさんのコンサートが有料、無料ともに約2週間、開かれます。またジャズ以外にもいろんな種類の音楽のコンサートが昼夜開かれて、街中が音楽でいっぱいになるんです。そして週末には街の古い港で、無料の花火大会が行われます。
ギヨームさん:フランスも日本と同じく各地方に独自のお祭りがあります。北部だとリールのブラドリー(Braderie de Lille : リールで行われる街を挙げての売り尽くしセール)とか、南西部だと闘牛を行うフェリア(Feria : フランス南西部やスペインで行われる祭り)とか。クリスマスの季節だと、東部のストラスブールのクリスマス・マーケット(Marché de Noël)が有名です。なかでもおすすめは、革命記念日にエッフェル塔に隣接したシャン・ド・マルス公園から見る花火ですね。早くから場所を確保しなければなりませんが、待つ甲斐はありますよ。
ジェナさん:花火といえば、隅田川花火大会に行った時、アニメやゲームなどの人気キャラクターの花火が上がって、日本っぽさを感じました。“その国らしさ”を体験したければ、お祭りに参加してみるといいのかもしれませんね。
ギヨーム・バロー
Guillaume Barraud
フランス西部・バンデー県出身。日本での大学留学及びインターンシップを経験後、フランスに帰国。現在は、海外にあるフランスの政府機関で行われているインターンシップ・プログラム「V.I.A」( Volontariat International en Administration )の制度を活用し、在日フランス大使館に勤務。
ジェナ・ウィルソン
Jenna Wilson
カナダ・モントリオール出身。フランス語話者が多く住むケベック州で育つ。日本の地方自治体が主催する、語学指導等を行う外国青年招致事業「JETプログラム」(The Japan Exchange and Teaching Programme)に応募し、来日。現在は、フリーライター・語学教師として活躍。
写真:伊佐ゆかり
翻訳:高橋純/Tokyo Tekuteku
https://tokyo-tekuteku.com/
取材撮影協力:在日フランス大使館
https://jp.ambafrance.org/-Japonais-
本企画は『東京の魅力発信プロジェクト』に採択されています。
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