ポーター・ロビンソン&マデオンが感動的な来日公演を前に世に放つ、お互いの楽曲を持ち寄って作った特別なパッケージ作品(Album Review)
ポーター・ロビンソン&マデオンが感動的な来日公演を前に世に放つ、お互いの楽曲を持ち寄って作った特別なパッケージ作品(Album Review)

 ポーター・ロビンソンとマデオン。この米仏の若きエレクトロニック・ミュージックの才能たちは、2016年夏に共作曲「シェルター」を発表したのち、北米で全34公演のジョイント・ツアー【SHELTER LIVE TOUR】を繰り広げてきた。ゼッドやディロン・フランシス、ホールジーらも絶賛のコメントを寄せるほどの盛り上がりを見せることになる。そのツアーの日本公演が、いよいよ2月21日に迫っているところだ。

 そもそも「シェルター」に端を発する今回のプロジェクトは、日本と大いに関係している。このコラボ曲はアニメーションのショート・ムービーを念頭に置いた作品であり、ジャパニメーション好きで知られるポーター・ロビンソンがアニメ原案も手がけた。結果的に、『青の祓魔師』シリーズなどでも知られるA-1 Picturesが1年がかりでムービー製作を担当。深い余韻を残すドラマティックな作品が、2016年10月に公開され話題となった。

 また、ポーター・ロビンソンとマデオンは自ら監修した独自企画のコンピレーション・アルバムを日本で発表することを決め、それが来日公演直前の2月15日にリリースされる『シェルター:コンプリート・エディション』である。きめ細やかな情緒の形を伝えながら展開する「シェルター」は、どちらかと言えばポーター・ロビンソン色が強いけれども、目にも楽しい巧みなライヴ演奏が特徴的なマデオンが、ステージでどのように関わってくるかも興味深い。

 『シェルター:コンプリート・エディション』には「シェルター(マット・ゾー・リミックス)」や同ピアノ・ヴァージョンのほか、過去にフル・アルバムを1作ずつリリースしている2人が、代表曲を持ち寄る一枚となっている。日本の車窓風景を加工したMVが印象的だったポーター・ロビンソンの「フリッカー」やチップチューン風の「グッバイ・トゥ・ア・ワールド」。一方のマデオンはダンストラックのプロデューサーとしてのみならず、ポップなソングライターとしての真価を見せつける「ペイ・ノー・マインド feat, パッション・ピット」や「ナンセンス feat. マーク・フォスター」を提供している。

 シングルのカップリングだった「ペイ・ノー・マインド」の中田ヤスタカによるリミックスまで収める親切設計ぶりだが、2人の楽曲がマッシュアップされる【SHELTER LIVE TOUR】の予習にもふさわしい一枚であり、また、「シェルター」ムービーはBlu-ray仕様で同梱するというこだわり方だ。表現の垣根を越えたところで、2人がいかにこの映像作品を大切にしているかが伝わってくる。

 インターネットを通じて交流を深めてきた2人の優れたアーティストたちが、練り上げてきたジョイント・ライヴの成果を携えて、ムービー作品の故郷=日本へと辿り着く。エモーショナルな音が降り注ぎ、素晴らしい映像演出と手を取り合う画期的なステージとなるだろう。楽しみだ。(Text:小池宏和)


◎リリース情報
アルバム『シェルター:コンプリート・エディション』
<日本独自企画/完全生産限定盤>CD+Blu-ray+グッズ
2017/2/15(水)Release
SICP-5181~3/3,000円(tax in.)

◎公演情報
【Porter Robinson & Madeon “Shelter” Live Tour in Tokyo】
2017年2月21日(火) 東京 Zepp DiverCity
OPEN 18:00/ START 19:00
チケット:1Fスタンディング7,800円(Tax in.)/2F seated 8,300円(Tax in.)