アイルランドで2番目に巨大なブロードバンド・プロバイダーであるUPCが、ソニー・ミュージック、ユニバーサル・ミュージック、ワーナー・ミュージックによる共同差し止め請求を受け、著作権侵害対策の“スリー・ストライクス”(三振法)を導入するよう命じられた。

 アイリッシュ・インディペンデント紙によると、高等法院が下した判決では、著作権侵害の音楽や映画をダウンロードしているユーザーを見つけると、2度の警告の後に接続を遮断し、これで再犯が防げなければ法的措置を取るようなシステムの導入をUPCに求めたという。

 高等法院裁判官ブライアン・クレガンは、「憲法上の権利を侵害する人間が逃げおおせるような技術の進歩によって、今の世代の音楽制作者、パフォーマー、表現者たちが生計を崩されることがあってはならない」と述べたとのこと。ユーザーが何にアクセスしダウンロードするかは自社に責任はないとするUPCの主張を棄却し、当事者全員に“スリー・ストライクス”の導入をどう実施するか準備させるために来月まで休廷した。

 クレガンは、前述のシステム立ち上げに80万~94万ユーロ(約1億300万~1億2,100万円)の費用がかかるとみており、UPCがその80%を支払うとしている。残りの20%はレコード会社と権利所有者で負担することになる。

 また、年間運営費は20万~30万ユーロ(約2,600万~3,900万円)となり、UPCが支払うが、“スリー・ストライクス”の告知に異議がある人のための公正仲裁委員会にかかる費用は、双方が平等に負担する。