なにやら畑仕事の打ち合わせ中。 フランシュック・南アフリカ 2009年/Franschhoek,South Africa 2009
なにやら畑仕事の打ち合わせ中。 フランシュック・南アフリカ 2009年/Franschhoek,South Africa 2009
友と乾杯。 フランシュック・南アフリカ 2009年/Franschhoek,South Africa 2009
友と乾杯。 フランシュック・南アフリカ 2009年/Franschhoek,South Africa 2009

 広大なアフリカ大陸のうち25カ国を訪ねてきた、フリーランスライターで武蔵大学非常勤講師の岩崎有一さんが、なかなか伝えられることのないアフリカ諸国のなにげない日常と、アフリカの人々の声を、写真とともに綴ります。

【アフリカン・メドレー フォトギャラリー】

多くの人が抱くアフリカのイメージを、ことごとく裏切ってくれる南アフリカ。そんな南アフリカで造られるワインをご存じでしょうか? 今では世界中で愛されている“南アフリカワイン”は、多くのソムリエたちが「コスパが良い」と絶賛するワインでもあります。今回はそんな南アフリカワインのお話。クリスマス用に1本いかがでしょうか?

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 冬の澄んだ青空を見上げると、南アフリカを思い出す。キリッと冷えた空気に包まれながら、南アフリカで訪ねたその土地その土地の風景が、自然と頭に浮かんでくる。

 南アフリカ共和国は、多くの人が抱くであろうアフリカのイメージを、ことごとく裏切ってくれる国だ。灼熱(しゃくねつ)の太陽が照りつける……ということもなく、最高気温が30度を超えることも、まずない。季節にもよるが、夜間は気温が1桁まで下がることもある。空港に降り立つと、多くのアフリカ諸国では客待ちのタクシードライバーが群がってくるが、南アフリカでは声すらかけられない。自ら声をかけたタクシーに乗り込み、車窓から外に目を向けると、西欧を思わせる街並みがどこまでも続く。宿で荷を降ろしてスーパーマーケットを訪ねれば、日本と比べても遜色のない品々がどの街でもそろう。

 そんな中で、日本のスーパーマーケットよりも圧倒的に品ぞろえが豊富だと感じたのが、ワインだ。数リットル入りの紙パックから高価なものまでさまざま取りそろえられている。アフリカに関心のない人でも、“南アフリカワイン”という名称に聞き覚えがあるのではないだろうか。

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