「マナー違反をしてまで撮影した写真を発表しても、誰にも相手にされなければ、そうした行為も減るはず。日本野鳥の会が発行する会報誌でも、掲載する写真には細心の注意を払い、撮影地や時期なども細かく記さないようにしています」
最近はSNSの普及により、誰かが珍しい鳥の営巣行為の場所を紹介すると、翌日には何十人もの撮影者が集まることも珍しくないという。
「あまりにも人が集まりすぎてしまい、カメラマンに注意してもらちがあかないので、地元の人が怒って鳥を追い払ったケースもあります」
同会では、キヤノンマーケティングジャパンとともに2014年、「野鳥撮影マナーブック」を作成し、「野鳥撮影のマナー7カ条」を掲載。
「野鳥撮影者を見ると『日本野鳥の会の会員だ』と思われてしまうのですが、会員ではない方も大勢いらっしゃいます。だから広くマナーの啓蒙が必要だと感じています」
野鳥撮影愛好家が自主的に撮影マナーを守る動きもある。
「タンチョウが生息する釧路湿原では、地元の農家が農地の一角を開放してくれ、撮影者もマナーを守るようになっています。こうした場所が増えていけば、理想的ではないかと思います」
(文・吉川明子)