■名誉欲・金銭欲よりも体験欲が大事

山本:ていうかさ、村上さんは半年で1000万円稼げるなら、もっと稼げばいいじゃないかと思うんですけど。ずっと疑問なんだけど。

村上:僕は名誉欲だけでなく、金銭欲もあまりないんです。自分が食っていける分があればいい。一時は3カ月仕事して9カ月ニートという時期もありました。僕にとって重要なのは、金銭欲より体験欲。お金を貯めるくらいなら、そのお金を使って僕は体験を買う。それが未来の自分への投資だと思うんですよね。その体験欲を追求した結果、僕はサッカー日本代表を10年以上追い続けて、今やその経験のおかげでサッカー関連の記事の執筆依頼が来るようになった。あと、変な話ですけど、税金を多く払いたくないというのもある(笑)。

山本:それはわかる。無駄な税金は払いたくないし、払う必要もない。サラリーマンはあんまり節税のことを考えないですよね。

村上:僕もサラリーマンのときは節税の「せ」の字もわかりませんでした。全部会社まかせ。フリーランスになって納税方法を知って、節税についても調べて、何十万、何百万円と変わってくるということを知りました。10年以上フリーランスをやってて、毎年学びがあります。節税のために4年前に法人も設立しましたし。

山本:会社で働いていると見えない部分ですよね。給料からどう控除されているのかもなかなか分からないし、自分が損していることも知らされないし。

村上:サラリーマンは自分の価値をいかに上げるかということに無頓着。上から決められるものだと思っている。あなたの市場価値はオープンなマーケットに行けば、大体の人が1.5倍から2倍になるということを知らない人が非常に多い。何万円かの買い物をする時に価格.comなどの価格比較サイトを使って、最安値の商品を探すのには躍起になるのに、自分の月給が何十万円と買い叩かれていることに関してなぜ無関心でいられるのか、僕には到底理解できない。

山本:稼げる努力よりも、安いものを得るために時間をかけるわけですね。それは人間の惰性というか、本当に大事なものを見定めて優先順位を付けることができてないでしょうね。

■半年だけ働いて「人格否定」されない生き方

村上:金銭面だけでなく、精神的にもフリーランスはメリットがある。上司から詰められたり、部下を叱らなくちゃいけないというストレスがないということ。人格否定を含んだ怒り方をする上司とかよくいるじゃないですか。先日もレストランで店長が新入りを凄い形相で怒っているシーンを見ちゃった。僕、怒るのも嫌だし叱られるのも嫌。独立してからは、仕事上で他人に怒るということをここ10年以上してないんですよ。仕事の契約がほぼ個人で完結する形なので、他人に怒る必要性がないんです。「僕は契約上のここまでちゃんとやったんで、あとはよろしく」というスタンスが取れるフリーランスは気が楽です。

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