また、別の芸能プロの幹部は、少し前から「インスタ映え」を望む一般人に所属タレントを派遣するビジネスをスタートさせたという。
「リア充」ぶりをアピールするためのインスタグラム用の写真に写り込む“架空の友達”として、所属しているまだ無名のモデルやタレントを斡旋するそうだ。
これがなかなか人気で、それなりの需要があるという。
なぜ、素人が「インスタグラム」に投稿する写真を“盛る”ため、わざわざお金を払って架空の友達を発注するのかといえば、そこには自己顕示欲を満たしたいという思いも当然あるだろう。
加えて、素人でも人気インスタグラマーや人気ブロガーとなり、ネットを通じて世間に与える影響力を誇る存在になれば、業者などを通じて「アナタのインスタグラムやブログでこの商品を宣伝してくれませんか?」といった仕事が舞い込んでくるといった背景もある。
もちろん、ステマに関与している“インフルエンサー”はごく一部なわけだが、少なからずそうした市場がビジネスとして存在することは間違いない。
そもそも、インフルエンサーを使ったマーケティングとステマビジネスをきちんと線引きするのは、至難の業だ。
例えば、インスタグラムである商品を褒めたたえているとして、それが本人の純粋な意志なのか、じつは裏で謝礼をもらって宣伝しているのかを厳密に立証するのは難しい。
とはいえ、何もステマは昨今のネットの世界だけの話ではなく、テレビや雑誌の世界などでも昔から横行していた。
テレビ番組や雑誌の記事の中には、芸能人がそれとなくオススメする飲食店が、じつはその芸能人が所属する芸能プロの出資している店だったり、人気ランキングという体裁でメニューやグッズを紹介する際、番組を放送するテレビ局、雑誌を発行する出版社と関係の深い広告クライアント企業の商品をさりげなく上位に入れるなんてケースも昔からざらにあった。
ただ、ネットの普及により、一個人が昔とは比べ物にならないほどの情報発信力を持てる土壌が形成され、良くも悪くもいわゆる素人がこうしたビジネスに参入できるようになる一方、旧来のメディアの力が衰えてテレビや雑誌の出演料が右肩下がりになる中、その穴埋めをすべく、一部の芸能プロが所属タレントを使ったステマビジネスや“インスタ映え”に特化した派遣ビジネスに力を入れるのは時代の流れなのだろう。