「グラミー」は、受賞者が手にするトロフィが物語るとおり、音楽芸術の象徴とも呼べる蓄音機=グラモフォンを愛称化したもの。これはその立体ロゴの2016年スペシャル・ヴァージョン。ロサンゼルスにて撮影(撮影/大友博)
「グラミー」は、受賞者が手にするトロフィが物語るとおり、音楽芸術の象徴とも呼べる蓄音機=グラモフォンを愛称化したもの。これはその立体ロゴの2016年スペシャル・ヴァージョン。ロサンゼルスにて撮影(撮影/大友博)
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大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など

 アメリカ音楽の最高の栄誉であるグラミー賞。第60回という節目の年の候補作品には、“グラミー賞らしい”ものが多数選ばれた。音楽ライターの大友博さんが解説する。

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 Grammy Awards Ceremony、グラミー賞授賞式まであと約1カ月となった。

 すでに各賞の候補者や概要も発表され、さまざまな形で報道されているようだが、あらためて紹介しておくと、第60回という大きな節目の開催となる今回の授賞式は、1月28日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行なわれ、現地時間午後7時30分から生放送される(日本ではWOWOWで29日午前8時30分から)。

 ちなみに、グラミーの会場は「ロサンゼルスのステイプルズ・センター」というのがほぼ定着したパターンとなっていて、ニューヨークでの開催は、ノラ・ジョーンズが大きくクローズアップされることとなった2003年の第45回以来、15年ぶりとなる。また、例年よりも1週間ほど開催時期が早くなっているのだが、これは「冬季オリンピックを考慮して」ということのようだ。

 ロサンゼルスでのグラミーは何度か観たことがある。もっとも寒い時期の日本をまさに脱出するような気分で飛行機に乗り、LA国際空港に降り立って外に出ると、もう半袖の気分。正直に告白すると、グラミー本体よりもあの感触が楽しみで行っていたようでもあった。

 ところが、2003年のニューヨークは、一面の雪景色で、マディソンの西側を流れるハドソン・リヴァーからの風が言葉ではうまく表現できないほど冷たかった。いや、痛かった。たしか、生まれてはじめてニット帽などというものを買った記憶がある。いわゆる裏事情はよくわからないが、寒さに加えて、この政治状況下では当然のことながらテロへの警戒も厳重になるはずであり、NY開催を心から歓迎し、喜んでいるなどという人はほとんどいないのではないだろうか。

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