アコースティック・ギターを演奏するChar(写真提供/ZICCA inc.)
アコースティック・ギターを演奏するChar(写真提供/ZICCA inc.)
Charの初のアコースティック・ツアーは、シンプルなメンバー構成でライブをしている(写真提供/ZICCA inc.)
Charの初のアコースティック・ツアーは、シンプルなメンバー構成でライブをしている(写真提供/ZICCA inc.)
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など
大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など

 エレキトリック・ギターの印象が強いCharが、アコースティック・ギターを手に持ち、ツアーで全国を回っている。音楽ライターの大友博さんが、Charの新たな魅力を語る。

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 12月12日火曜日、六本木のEX THEATERでCharのライヴを観た。11月23日に大阪・いずみホールからスタートし、群馬・高崎シティギャラリー、東京・ヤマハホール、盛岡市民文化ホール、能代市旧料亭金勇(畳の大広間に座椅子!)と回ってきたアコースティック・ツアーの、これが6日目。さらに、23日長野・八ヶ岳高原音楽堂、27日東京・紀尾井ホールとつづき、アコースティック・ギター中心という編成はもちろん、会場選びにも徹底してこだわったこのスペシャル・ツアーによってCharは、2017年を締めくくることとなる。

 オフィシャル・サイトZICCA.NETによると、アコースティック・ツアーは初の試みとなるものだという。実際、多くの音楽ファンがCharという名前を目や耳にして思い浮かべるのは、フェンダーのムスタングやストラトキャスターを手にした姿だろう。40年以上にわたって個性的な音楽の創造に取り組み、後進にも多大な影響を与えてきた彼の作品世界の核にありつづけてきたのは、シャープでしかも表情豊かなあのエレクトリック・ギターの響きだったのだ。

 1955年生まれのCharは、10歳のころ、つまりベンチャーズが本格的な初来日公演を行ない、ビートルズやローリング・ストーンズの曲が日本のラジオでも普通に流れるようになったころ、エレクトリック・ギターを弾きはじめ、15歳のときにはもうクリーム/エリック・クラプトンの「クロスローズ」などを弾きこなしていたらしい。まさに早熟。同世代でいわゆる「下手の横好き」の僕などからすると、なんとも恐れ入ってしまう話だが、つまり、彼は若くしてスタートラインに立った段階からエレクトリック・ギターを究めてきたわけであり、そういった背景もあり、当時の日本ではフォーク・ギターと呼ばれていたアコースティック・ギターには積極的な興味が持てなかったそうだ。というか、いわゆる日本的なフォークに精神的な意味で距離を置いていたということなのだろう。

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大友博

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大友博(おおともひろし)1953年東京都生まれ。早大卒。音楽ライター。会社員、雑誌編集者をへて84年からフリー。米英のロック、ブルース音楽を中心に執筆。並行して洋楽関連番組の構成も担当。ニール・ヤングには『グリーンデイル』映画版完成後、LAでインタビューしている。著書に、『エリック・クラプトン』(光文社新書)、『この50枚から始めるロック入門』(西田浩ほかとの共編著、中公新書ラクレ)など。dot.内の「Music Street」で現在「ディラン名盤20選」を連載中

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