
脳や心臓をはじめ、全身の臓器は血管でつながっています。血管の状態は、全身の健康を映す鏡のようなもの。実は、血管の老化はからだの老化そのものなのです。発売中の週刊朝日ムック「脳卒中と心臓病のいい病院」から、血管の老化で起きる病気を解説します。
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血管は全身に酸素や栄養を送る動脈と、全身から老廃物を回収する静脈の二つに分かれます。
動脈は、血液を心臓から全身に行き渡らせるほどの強い圧力に耐えられるように、内膜、中膜(筋肉層)、外膜の3層構造になっています。
このうち、血流に接している内膜と、血管の硬さのもとになる筋肉層である中膜が動脈硬化に大きな影響を与えます。血管の老化が進むかどうかは、これら2層の状態にかかっているのです。
これに対して静脈は、筋肉層である中膜がないとされる2層構造です。その代わりに逆流防止のための弁がいくつもついています。
主にひざから下に、青黒い血管が浮き上がって蛇行したりコブをつくったりする下肢静脈瘤は、この弁の故障などで発症します。静脈は中膜がないとされるために硬化が起きません。「静脈硬化」がないのはそのためです。