倒産の危険がある会社は、大体3年前から予兆が表れる可能性が高い(※イメージ写真)
倒産の危険がある会社は、大体3年前から予兆が表れる可能性が高い(※イメージ写真)
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佐伯良隆(さえき・よしたか)/早稲田大学政治経済学部卒。ハーバード大学経営大学院修了(MBA)。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)にて企業向け融資業務に携わるほか、財務研修の企画および講師を務める。その後、米国投資顧問会社であるアライアンス・バーンスタインで株式投資のファンドマネジャーを務めるなど、金融の最前線で活躍。現在は、グロービス経営大学院教授。東京都金融広報委員会のアドバイザーとして、講演活動を行っている(撮影/写真部・片山奈緒子)
佐伯良隆(さえき・よしたか)/早稲田大学政治経済学部卒。ハーバード大学経営大学院修了(MBA)。日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)にて企業向け融資業務に携わるほか、財務研修の企画および講師を務める。その後、米国投資顧問会社であるアライアンス・バーンスタインで株式投資のファンドマネジャーを務めるなど、金融の最前線で活躍。現在は、グロービス経営大学院教授。東京都金融広報委員会のアドバイザーとして、講演活動を行っている(撮影/写真部・片山奈緒子)

 10年後は70%、20年後は52%――。この数値は、帝国データバンクの調査結果を基に経済産業省が発表した「企業生存率(※)」だ。つまり10年後には3割、20年後には約半分の会社が「倒産」している事実を表す。今年7月にタカタが民事再生法の適用を申請したように、ベンチャー企業に限らず大手企業であっても倒産の危険性は常にある。

 では、潰れる前に“危険なサイン”を見抜くことはできないのだろうか。『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2018』の著者であり、グロービス経営大学院教授(ファイナンス担当)を務める佐伯良隆氏に、決算書から「倒産の危険性が高い会社を見抜く方法」をうかがった。

(※)全ての事業所及び企業(ただし、農林漁家等を除く)

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■自己資本比率で「骨の太さ」をチェック

「会社がいつ倒産するのかを、正確に予測するのは難しいです。赤字続きでも潰れない会社もあれば、利益が出ていてもいきなり倒産する会社もある。しかし、私がこれまで行ってきた企業分析の経験からいうと、倒産の危険がある会社は、大体3年前から予兆が表れる可能性が高いです」

 では、倒産の予兆はどこに表れるのだろうか。佐伯氏は、「決算書の3つのポイントに注目してほしい」と指摘する。

「まず確認したいのは貸借対照表における『自己資本比率』です。これは『会社を支える屋台骨がしっかりしているかどうか』を示す指標。自己資本比率が低い会社は、人に例えるなら骨が細くスカスカな状態です。借金の重みに押しつぶされたり、突発的なトラブルによって足元から崩れ落ちる危険性が高いといえるでしょう」

 自己資本比率は、「総資本(会社の財産)」に占める「自己資本(返す必要のない自分のお金)」の割合を表す数値で、決算書のうちの「貸借対照表」を見ればわかる。日本企業の平均値は35~40%程度。50%以上あれば、おおむね安全であるといえる。

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