「30歳くらいのキリッとした感じの女性でした。当時、庄司に抵抗できなかった心境を一生懸命、説明したのですが、『う~ん』と首をかしげ、『私には理解できないんですけど』と言われました。痴漢でも、抵抗できる人ばかりじゃない、恐怖で体が固まってしまう人もいる、と訴えても、『私は言えるタイプなので、逃げられない気持ちがわからない』と。抵抗できなかった私が悪かったのかと、傷つきました」
地検は8月3日、「被害者が同意していないのは明らかだが、心理的に抵抗できない状態だったとまでは言えない」として、2度目の不起訴処分を発表した。
長くスポーツ界に蔓延するセクシュアルハラスメントを追及してきたスポーツライターの山田ゆかり氏は、こう話す。
「今回の地検の判断は、スポーツ界のセクハラの実態に対し、あまりにも無知、無理解だとしか言いようがない。指導者が、絶対的な力関係や信頼感を利用し、立場の弱い選手に迫るというのは典型的。周囲も実績ある熱心な指導者、という理由で黙認することが少なくないため、加害者が正当化されてしまう」
※週刊朝日 2012年9月21日号