諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
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東京・JR秋葉原駅前で開かれた立憲民主党の演説会に集まった聴衆たち。会場では枝野コールが巻き起こった(撮影/西岡千史)
東京・JR秋葉原駅前で開かれた立憲民主党の演説会に集まった聴衆たち。会場では枝野コールが巻き起こった(撮影/西岡千史)

 希望の党が小池百合子代表の「排除」発言で失速し、選挙直前に枝野幸男氏が結党した立憲民主党が大躍進し、野党第一党となった。安保法制の反対デモなどでかつて共闘した元SEALDs諏訪原健さんが分析する躍進の舞台裏とは?

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 総選挙では自・公が定数の2/3を超える議席を獲得し、「安倍一強」は今後も続いていくことになった。しかしそんな状況の中で、ひときわ注目を集めているのが、立憲民主党の大躍進である。立憲民主党の議席数は、公示前の15から、55へと大幅に伸び、一気に野党第一党の地位に登りつめた。

 このような大躍進の原因を、希望の党の失速に伴って偶然に生じた「風」と見る向きもある。しかし私にはそうは思えない。あえて言えば、「風」に流されまいとする「草の根」の動きこそが、結果的に「風」を作り出すことになっているのだと思う。

 その「草の根」の動きを促進したのが、立憲民主党の「ボトムアップ」というスタンスだ。枝野氏は、「立憲民主党は『あなた』が作った政党だ」と街頭で語っていた。事実、立憲民主党が立ち上がったのは、「枝野立て」という市民の後押しがあったからだ。市民の声を受け、枝野氏はたった一人で記者会見を開き、ともに戦ってくれる人を募った。それを見て、自分こそがこの動きを作り出した当事者なのだ、何としても選挙戦に参加しなければならないと思った人が多くいたはずだ。

 枝野氏の言葉を聞いていて、真っ先に思い浮かんだのが、バーニー・サンダースのホームページ(HP)に書かれた言葉“This is your movement”だった。候補者のためではなく、あなた自身のための選挙なのだという打ち出し方に重なるものを覚えた。また立憲民主党の選挙戦自体も市民主体の選挙で、どこかアメリカ大統領選を彷彿させるものがあった。

 選挙戦の中で特に印象的だったのはSNS戦略だ。立憲民主党のTwitterアカウントは、政党の「広報」にとどまらない、どこか「中の人」を身近に感じるような発信で多くの共感を集めた。フォロワーも選挙期間中に18万人にまで膨れ上がり、フォロワーの急激な増加自体がニュースになっていた。

 SNSは選挙への参加を呼びかけるツールとしてもよく機能していた。街頭演説会の告知においては、「#大阪最終大作戦1020」、「#東京大作戦FINAL」のように毎回ハッシュタグが作られ、Twitterユーザーがつながりやすくなる工夫が見られた。また「ボランティア大作戦」と題して、選挙への参加方法が様々な形で提示されていた。

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