●税込みキャッシュフロー

泉:はい。例えば普通シナリオの年間売り上げが120万円として、お風呂の改修に300万円かけたとします。耐久性のあるものの購入や改修にかかったコストは「減価償却」といって、予測される耐久年数で割った金額が1年あたりの経費として計上されます。例えばお風呂の耐久年数の基準が15年だったとして、300万円÷15年で1年あたりの経費は20万円。売り上げ120万円マイナス20万円から算出される100万円が課税所得になります。これに30%の税金がかかってくるので、30万円の支払いが生じる。これを入れてキャッシュフローを計算しておかないと、ギリギリの収支で回している場合、「火の車」になってしまうこともあります。「大きな収入があるはずだとあてにしていたのに、予想外の金額を税金で引かれちゃった」という声はよく聞かれますので、あらかじめ理解しておくことが大事ですね。

相談者(夫):そうですね。ありがとうございます。両親にもちゃんと説明した上で、始めたいと思います。

泉:そして、家の魅力をしっかりアピールするには、告知用に載せる写真にこだわるのはとても重要ですよ。

相談者(妻):夫は絵心があって、写真も得意。彼の才能も生かせそうです。

泉:いいですね。はじめに少しお話しされていた「食事を出すか」という点については、食中毒のリスクを考えると、現時点では「出さない」のが正解だと思います。よかれと思ってしたことが、かえって高額の補償支払いを招く可能性もゼロではありませんから。民泊向けリスク対応の保険が充実してきた段階で考えるといいでしょう。

相談者(妻):そうですね。スッキリしました! ぼんやりと考えていたプランが、今日のこの時間だけで現実的なものになりました。余っている資産で副収入を得たいという目的もありますが、期待収益はお金だけではなくて、両親の生活に刺激をプレゼントして、生きがいや楽しみを増やしてほしいという思いもあるんです。家族みんながハッピーになれるのなら、必要な投資の一部は私たちが負担してもいい。お金の計画を立てることで、できること、やるべきことが明確になりました。

泉:実際には、Airbnbなどのサイトで同等物件の相場を調べて、売り上げ予測が正しいかどうかを確認してから、投資額を決めていきましょうね。すごくいいことだと思いますし、素敵なお金の使い方です。応援しています。