◆新潟の泉田前知事の取り込みに失敗すれば致命傷

 補選の中では、愛媛3区が今治市に隣接しているため、加計学園問題が大きな争点になりそうだ。この関係では、民進党公認の白石洋一元衆議院議員は議員時代に今治への獣医学部新設認可を求める国会質問をしたという問題を産経新聞などに指摘されていて、この問題が意外とクローズアップされてくる可能性がある。

 しかし、3補選の中で、圧倒的に重要なのは新潟補選だ。私の取材では、民進党の新潟県連は、すでに泉田裕彦前新潟県知事に立候補を要請している。5区は元々米山現知事が民進党候補者となっていたところで、現在は民進党としては空白区になっている。
 一方、泉田氏には、自民党の二階俊博幹事長が昨年からアプローチしていて、事実上新潟4区での立候補が決まっていたという確度の高い情報(信じられないような話だが)もある。詳しいことは別の機会に書くが、いずれにしても泉田氏を民進党候補者にはできない可能性があるのだ。

 万が一にも泉田氏が自民党から出馬し当選となったら、その被害は今回の補選だけにはとどまらない。次の総選挙では、新潟県の全選挙区で、圧倒的人気を誇る泉田氏が応援する自民党候補と戦わなければならず、かなりの現職(比例復活議員が多い)が議席を落とすことになるだろう。

 それを考えれば、最悪でも泉田氏を自民党に取られることだけは避けなければならない。最悪のシナリオは、5区で泉田氏が立候補し(この場合は自民党公認ではなく無所属になる可能性が高い)、自民党、公明党が推薦して当選してしまうことだ。

 この駆け引きで勝つためには、世論の喚起によって二階氏の手練手管による泉田攻略を止めるという戦いが必要だ。そうした大掛かりな戦略を企画して実行する手腕が問われる。

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