平成25年の秋から運行開始が予定されているJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の詳細が間もなく発表される。夜行列車、寝台列車の存在が年々希薄となってゆくなかで、九州各地を巡るこのクルーズトレインの運行は、鉄道ファンにとっては久しぶりの明るいニュースだ。
九州が誇る名湯・由布院でお湯につかったり、車中泊を楽しんだりしながら、九州観光のおいしいとこどりができるこのクルーズトレイン、渋滞や宿の心配がないので、秋の行楽シーズンにはぜひ利用したいところ。しかし、客室がスイートルーム仕様の「ななつ星in九州」は、一人15~55万円ほどとかなり高額。誰もが手がでるという存在ではないのが悩ましい。
でも、諦めるのはまだ早い。「ななつ星in九州」のような鉄道と温泉を堪能するクルーズとまではいかなくても"鉄宿"なら、それらを手軽に楽しめる。
例えば、日本三名泉といわれる岐阜県の下呂温泉にある旅館「望川館」では、飛騨川に架かる鉄橋を走るJR高山本線を、露天風呂から見ることができる。JR高山本線は、飛騨川の峡谷を行くロケーションが素晴らしく、鉄道ファンから絶大な支持を得ている路線のひとつ。露天風呂や部屋の窓から、いつも見ているのと違う列車を眺めるのは、特別な旅の思い出になることは間違いない。
他にも、目の前をSLが走る咲花温泉の「一水荘」(新潟県)や、「アンパンマン列車」を客室から眺められるこんぴら温泉郷の「湯元こんぴら温泉華の湯 紅梅亭」(香川県)など、全国には"鉄宿"が意外にもたくさんある。
鉄道ライターの恵知仁さんは"鉄宿"が人気の理由の一つとして、「部屋から鉄道が見られると、家族が共有できる話題、思い出がひとつ増えることにもなる」と、鉄道が親子のコミュニケーションをさらに深めるきっかけになる点に注目する。「温泉にゆっくりつかりながら、美しい風景の中を列車が通り抜けていく姿や音を聞くのはとても風情がありまよね。また、日常では体験できない特別なシチュエーションやアングルから鉄道を見ることができるのも楽しみのひとつ」とも。
この秋の連休は、家族で楽しめる"鉄宿"を満喫してみてはいかがだろうか。
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「鉄道ファンにおすすめ!お部屋・お風呂から鉄道が見える宿」(ゆこゆこ調べ)