当初の予定より早く復帰した長谷部誠(写真:getty Images)
当初の予定より早く復帰した長谷部誠(写真:getty Images)

「練習試合の2試合でも90分間ずつ出ていましたが、こうやって引き続き90分を通して試合に出ることは大事だと思います。ただ、もう少し長い時間、中盤でやりたかったですけどね」

 長谷部誠が報道陣にそう話したのは8月12日、ドイツ杯1回戦でのことだった。所属するフランクフルトのダブルボランチの一角で先発し、22分にダビド・アブラハムが退場してからはセンターバックにポジションを移し、フル出場を果たした。

 4部リーグのエルンテブリュックとの一戦は、長谷部にとっては右ひざを痛めた3月11日のバイエルン・ミュンヘン戦以来、およそ5か月ぶりとなる公式戦の舞台だった。

 長谷部が戦線に復帰までの流れを簡単に振り返ると、こうなる。3月22日に日本で右ひざの軟骨を取り除く手術を受けた。6月末までは日本でリハビリを行ない、そこからドイツへ。フランクフルトの練習は7月1日から始まったが、当初は手術をした箇所にかかる負荷を抑えていた。チームに課された練習のすべてをこなすわけではなく、取り組むメニューを制限していたのだ。

 そして、7月14日には練習試合に後半16分から途中出場。これが約4か月ぶりの実戦の舞台だった。本来は7月終盤の時期に実戦のピッチに立つプランだったため、予定よりも復帰が早まったことになる。

 長谷部はドイツ杯を終えた後、こうも報道陣に話していた。

「医学の観点から言えば、さらに良くなる感じはあるので。どこかで立ち止まるとか、そういうわけにはいかないですから」

 副キャプテンを務めるフランクフルトで復帰したとなると、期待されるのはやはり、日本代表のユニホームに再び袖を通すことだ。長谷部はこんな心情も明かしている。

「自分はフランクフルトでプレーをして、それを日本代表の監督やスタッフが見て、代表に呼びたいと思ったら呼んでいただけるものだと思います。だから、自分にできることはコンディションを上げることだけです。もちろん、けがしてからの代表戦を欠場していたので、8月末のゲーム(オーストラリア戦)で戻りたいという目標はあります」

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