となると、メジャー制覇への希望は薄いように感じられるが、松山は、大会前にツアーの公式サイトに掲載された優勝者予想「パワーランキング」で11位にランクイン。全米でも注目選手としてピックされており、ティーショットの正確性とパー5でのスコアメイクが上位評価の理由とされている。確かにツアーのスタッツを眺めると、松山のパー5の平均スコアは4.46でトップ。今大会でも、ロングホールでしっかりスコアを伸ばすことができれば、上位進出の道は開けてくるだろう。

 また、前述のメモリアルでは45位タイとはいえ、最終日の4番から11番の8ホールでは、1イーグル、4バーディーと好調時のプレーを見せ、復調の気配があることも好材料だ。本人も「体は不安な部分がだいぶなくなっているので楽しみ」と前向きで、ゴルフ自体もメモリアルの時よりは良いと話すなど、期待が持てる。

 さらにグッドニュースもある。大会側が、4ホールのフェアウエー両サイドにあるフェスキューを刈ることを決定。同13日に実施されたのだ。コース側は選手からの意見を取り入れたことがカットの理由ではないとしている他、この決定には賛否両論あるが、4番、12番、14番、そして18番のフェスキューが短くなったことは事実。刈っても刈らなくても選手の条件は変わらないが、松山は12番ホールを鍵としていたわけで、少なくとも精神的には楽に臨めるだろう。

 予選ラウンドは、リッキー・ファウラー(米)、ホン・ラーム(スペイン)とのペアリングとなったが、「パワーランキング」でファウラーはトップ、ラームは同4位の評価を受けた。「4日間あるので1日1日がすごく大切。初日から出遅れないようにしっかりと我慢強く行く」。果たして松山は、屈指の強豪とどんなゴルフを見せてくれるのだろうか。(文・田村一人)